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引退厩舎の思惑が絡む中山記念。最後方に構えた牝馬が乱ペースに乗じて漁夫の利を得る

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 第2回中山開催の開幕週には伝統の重賞、GII中山記念(2月27日/中山・芝1800m)が行なわれます。

 僕も何度となく騎乗したことのあるレースですが、関東馬がいい結果を残している印象があります。事実、過去10年の結果を振り返ってみると、関東馬が9勝。やはり、中山コースはふだんから走り慣れている関東馬に地の利があるようです。

 そして、例年2月末か3月頭に行なわれる中山記念ですが、今年は2月中に施行。それにより、2月いっぱいで定年解散となる厩舎の馬もギリギリ出走可能となり、今年は藤沢和雄厩舎、高橋祥泰厩舎が最後の重賞参戦で有力馬を送り込んできました。

 どちらかの厩舎の馬が勝ったとしても、ドラマチックなニュースとして取り上げられるでしょうね。最近では2018年、福島信晴厩舎所属(当時)のダイアナヘイローが厩舎解散週のGIII阪急杯を制覇。劇的なフィナーレとして話題になったことが思い出されます。

 また、この時期よく言われるのは「引退ヤリ」。引退を控えた調教師が管理馬を目いっぱいの仕上げでレースに送り出すことですが、そういったことは本当にあるのでしょうか?

 現役を引退した自分の経験からすれば、最後に有終の美を飾りたい、ということは誰もが思うことだと思います。

 なかには「ダメージを残さないようにして、後任厩舎に渡したい」という調教師もいますが、有力馬であれば、お釣りを残さずにビッシリ仕上げて「悔いのないレースをさせたい」と思うのがほとんどでしょう。

 したがって、今回の中山記念はこの"引退厩舎の思い"も予想において大きなポイントになるのではないかと踏んでいます。

 なにしろ、レースの展開のカギを握るのが、藤沢厩舎の所属馬であるコントラチェック(牝6歳)。この馬の出方をどう読むかで予想が大きく変わるため、なおさらです。

 そのコントラチェックですが、逃げた時のほうが好成績(4勝2着1回)を残しています。昨春のGIIIオーシャンS(中山・芝1200m)では2番手から抜け出して勝っていますが、あのレースは1200m戦だからできた芸当。1600m以上のレースでは、2番手でも脆さを見せています。

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