ウオッカが制したダービーの1番人気は?無冠に終わった「大物」たち (4ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 デビュー3戦目にGI朝日杯フューチュリティSを制し、無傷の4連勝で前哨戦の弥生賞も快勝。クラシックの大本命と目されながら、挫石(蹄底におきる炎症)で皐月賞を回避した。ダービーにはなんとか間に合って、1番人気に支持されるも、6着に敗れた。

 以後、翌春まで長い休養を余儀なくされた。復帰後、重賞連勝を決めたが、いまだGIでの勝利はない。無事であったなら、皐月賞、ダービーも勝っていたかもしれないし、古馬になってからもGIのひとつやふたつ、獲得していただろう。

 ダノンプレミアムに限らず、フジキセキ、バブルガムフェローなど、アクシデントに泣いて、クラシックで"無冠"に終わったケースは枚挙にいとまがない。やはり、「無事是名馬」なのである。

 クラシックを勝つ馬と、「大物」「有力」と言われながら勝てないで終わる馬。その両者の明暗を分けるものは何か。

 あれこれ議論はあるかもしれないが、詰まるところ「わからない」というのが、正解だろう。

 生涯1度しかないクラシック。その舞台においては、勝者のみが称えられ、記録にも、記憶にも残る。そんな勝者と激戦を演じようと、それ以前に勝っていようと、2着となれば、その多くはいずれ忘れ去られてしまう。厳しくも、それが現実である。

 クラシックは、厳しくもあり、それゆえの美しさもある。その勝ち負けにおいて、正解がないということを含めて、競馬の縮図のようなレースである。

 今年も3つ目の"泣き笑い"の舞台が、まもなく幕を開ける。

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