2020.10.14

「有力候補」と騒がれながら、
本番のクラシックでは勝てなかった馬たち

  • 新山藍朗●文 Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

クラシックに縁がなかった馬たち(前編)

 1980年代初頭、日本の競馬界にサンエイソロンという牡馬がいた。クラシック三冠すべてのトライアルレースを勝ちながら、肝心の本番はひとつも勝てなかった。

 いわば「トライアル三冠馬」だ。

 トライアルではあっさり差し切った馬に、ダービーで写真判定の末にハナ差で負けたことは、オールドファンの間では語り草となっている。当時、有力馬を抱える厩舎関係者たちは、自分の馬を「サンエイソロンのようにはしたくない」と語り合っていたという話もある。

 ここまで"記録的"ではないにしても、3歳クラシックレースにおいては「トライアルまではよかったが......」という期待馬、有力馬が少なくない。というより、ゴロゴロといる。

 1990年代はじめの約1万2000頭をピークに減少傾向にあるものの、現在でも7000頭強のサラブレッドが毎年生産されるなかで、勝利の椅子は3つしかないのだから、それも当然のこと。だが、そうした敗者の群れによって、勝者の栄光も、競馬という"ドラマ"も支えられていることは、紛れもない事実だ。

 今年も、もうすぐ3歳三冠レースの最後の椅子が埋まる。

 そこでこの機会に、「大物」「有力」と期待されながら、ついにクラシックには縁がなかった馬たちについて、少し振り返ってみたい。

 あまり古い話をしてもどうかと思うでの、サンデーサイレンス産駒が活躍し始めた1990年半ば以降、という形で見てみれば、ざっとこんな馬たちの名前が挙がる。

 まずは、メジロブライト。皐月賞も、ダービーも1番人気に支持されながら、皐月賞4着、ダービー3着、2番人気だった菊花賞も3着と、三冠レースはいずれも今ひとつの結果に終わった。