マルセリーナの子、ヒートオンビートは
放牧を経て「よくなってきた」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第28回:ヒートオンビート

 今年も、はや師走。6月にスタートした2歳戦も終盤を迎える。

 そんななか、クラシックへの期待が高まる血統馬がまもなくデビューする。栗東トレセンの松田国英厩舎に所属するヒートオンビート(牡2歳/父キングカメハメハ)である。

ヒートオンビートの母は、桜花賞馬のマルセリーナヒートオンビートの母は、桜花賞馬のマルセリーナ 同馬の母は、2011年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)を制したマルセリーナ(牝/父ディープインパクト)。2歳の12月にデビューし、初陣から評判どおりの強さを見せて白星を挙げると、次戦ではいきなりGIIIシンザン記念(京都・芝1600m)に挑戦した。

 そこで、強豪・牡馬相手に3着と健闘。あらためて能力の高さを示したあと、3戦目には牝馬限定のオープン特別・エルフィンS(京都・芝1600m)に臨んで、難なく勝利を飾って、春のクラシックへ駒を進めた。

 そして、クラシック初戦の桜花賞では、2番人気に推された。レースでは、その期待に応える圧巻の走りを披露。4コーナー16番手から強烈な末脚を繰り出して、見事に戴冠を果たしたのである。

 以降、GIを含めて重賞戦線で奮闘するも、勝ち星にはなかなか恵まれなかった。それでも、4歳春のGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で3着と善戦し、5歳の春にはGIIIマーメイドS(阪神・芝2000m)で2年ぶりの勝利を挙げるなど、コンスタントに活躍。多くのファンに愛された名牝と言える。

 現役引退後、繁殖牝馬となっても、名牝としての輝きは失われていない。すでに、重賞勝ちを収めた実力馬を送り出している。

 2016年に産んだラストドラフト(牡3歳/父ノヴェリスト)だ。同馬は、新馬戦を快勝し、2戦目にはGIII京成杯(中山・芝2000m)で栄冠を手にした。その後、牡馬クラシック初戦のGI皐月賞(中山・芝2000m)に出走。7着に敗れたものの、今後の活躍がまだまだ期待される1頭である。

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