高松宮記念は8歳でも若づくり、ダンスディレクターの決め脚が爆発だ!
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
今週は、週半ばこそ雪がちらつくほど寒かったものの、週末にはソメイヨシノの見頃を迎えるところが多いそうで、春の訪れを感じさせる陽気になってきました。
競馬もまた、週末に行なわれる高松宮記念(3月25日/中京・芝1200m)を皮切りに、春のGIシーズンに突入していきます。高松宮記念はまさに春の到来を告げるレースと言えますね。
舞台となるのは、中京競馬場。コースが改修される前はコーナーがキツく、最後の直線も短くて、道中の位置取りと最終コーナーのさばきひとつで、結果が変わることがよく見受けられました。
しかし改修後(2012年3月)は、最終コーナーを回ってからゴールまでのホームストレッチが、改修前よりもおよそ100m延びて、412.5mと長くなりました。コーナーも大回りになって、さらに直線に坂も作られたことで、紛れの少ない実力勝負の舞台に変わりました。
実際、2012年以降の高松宮記念の上位入線馬を見ても、ほとんどの馬がその当時のスプリント路線の中心的な存在です。今年も、マイル以下の短距離戦で結果を残している実力馬が上位を争うのではないでしょうか。
その筆頭格となるのは、現在の短距離路線を牽引しているレッドファルクス(牡7歳)。一昨年、昨年とGIスプリンターズS(中山・芝1200m)の連覇を達成し、昨年の最優秀短距離馬に選ばれています。短距離レースでの実績は、間違いなく国内現役ナンバー1です。
昨年の高松宮記念では、1番人気に推されましたが、惜しくも3着に敗れてしまいました。ただそれは、前年の暮れに香港遠征を敢行し、それ以来となるぶっつけのレースだったことが影響したのではないでしょうか。
およそ3カ月の休み明け――これが普通の休養であれば、それほど問題はないと思うのですが、物理的に近い香港とはいえ、海外遠征を行なったあとの復帰初戦。長い検疫や空輸など、普段経験しないことを経て、知らない土地で競馬をして帰ってくるという一連の流れは、歴戦の古馬でも堪(こた)えるものでしょう。順調に国内で使われている馬たちに比べれば、大きなビハインドがあったと思われます。
1 / 3
著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。