阪神大賞典、現役最強馬サトノダイヤモンドに迫る馬はいるのか?
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
3月も半ばをすぎて、桜の開花も近づいてきました。と同時に、いよいよ春のGIシリーズも間近に迫ってきましたね。
今年から大阪杯(4月2日/阪神・芝2000m)がGIに昇格したため、次週の高松宮記念(3月26日/中京・芝1200m)からは4週連続でGIが開催されます。さらに1週空いて、その後は6週連続のGI開催ですから、かなり盛り上がっていきそうですね。もちろん競馬サークル内も、続々とスターホースがトレセンで調教をし始めるので、これから雰囲気がガラッと変わっていきますよ。
そんなGIシリーズの幕開けを前にして、今週は阪神大賞典(3月19日/阪神・芝3000m)が開催されます。昨年末の有馬記念(2016年12月25日/中山・芝2500m)でキタサンブラックを破り、現在の現役最強馬と言えるスターホース、サトノダイヤモンド(牡4歳)の始動戦となります。
そもそも3000mという長距離戦のうえ、2週後にはGIに昇格した大阪杯が控えているため、出走頭数(10頭)はやはり少なくなってしまいました。また、全体的なレベルもGIIというには疑問符がつくメンバー構成ではありますが、このサトノダイヤモンドが出走するだけで、意味のある一戦と言えるでしょう。
昨年の三冠レースでは、皐月賞3着、ダービー2着、菊花賞1着という成績を残したサトノダイヤモンド。スタートもよく、道中も折り合って、終(しま)いもしっかりしているという、まさにセンス抜群の走りを見せてくれます。ゆえに、2000mでも、2400mでも、3000mでも上手にレースをこなして、それがそのまま結果にも出ています。レースを見ていても、(騎手の)意のままに動かせそうで、非常に乗りやすそうに感じます。
きっと、大阪杯に出走したとしても、好勝負ができたはずです。いろいろと事情があって阪神大賞典からの始動になるのでしょうが、今回のメンバーなら、たとえ仕上がり途上であったとしても恥ずかしい競馬はできません。王者の貫禄を見せつけてくれることを期待しています。
唯一、ライバルに成り得るのは、昨年の覇者であるシュヴァルグラン(牡5歳)です。
この馬に関しても、過去にこのコラムで何度となく取り上げてきました。サトノダイヤモンドに比べると、やや注文のつくところはありますが、同馬も折り合いがついて、騎手にとっては安心して乗れるタイプの馬。中団に構えて、4コーナーからまくり気味に外から抜け出していった昨年のレースぶりも圧巻でした。サトノダイヤモンドが勝った菊花賞と同じようなイメージが残っています。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。