本命ビッグアーサーに不安?スプリンターズSはネロの激走あるぞ

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 いよいよ今週から秋のGI戦線がスタートします。この秋は海外GIの馬券発売も始まって、なお一層、競馬が盛り上がっていきそうですね。実際、この海外GIの馬券を購入したいと思っていたファンの方は多いのではないでしょうか。そういう意味では、まさに待望の出来事になりますね。

 今回の海外GI、凱旋門賞(10月2日/フランス・芝2400m)については、僕も非常に楽しみにしています。日本調教馬の近年のチャレンジの中では、最も期待できるのではないでしょうか。

 本来であれば、チャレンジしているはずだったドゥラメンテ(※今夏の宝塚記念で故障して引退)にしても、勝つチャンスがある馬だと思っていましたが、今回出走するマカヒキ(牡3歳)にはドゥラメンテと同等の能力を感じています。

 今年の3歳世代は、「5強」とか「3強」とか言われていますが、実はマカヒキの「1強」という見方もできます。いつも着差がわずかなので、その強さはイメージしづらいかもしれませんが、勝ったレースはもちろん、唯一負けた皐月賞にしても、かなりケタ違いの競馬をしてきているのです。

 前哨戦のニエル賞(9月11日/フランス・芝2400m)もそうです。2着馬との着差はクビ差でしたが、超スローの流れをピッタリと折り合って、終(しま)いに仕掛けられると、反応鋭く加速。ゴール前できっちり差し切って快勝しました。あの"異常な展開"の競馬に負けなかったことも、この馬の強さだと思います。

 本番もニエル賞と同じシャンティイ競馬場で開催され、鞍上はもともとフランスが主戦場で、このコースも熟知しているクリストフ・ルメール騎手。JRAで海外GIの馬券が発売される、その初戦で日本馬が勝つ、そんなシーンが見られるかもしれませんね。

 さて、本題のスプリンターズS(10月2日/中山・芝1200m)。春の高松宮記念(3月27日/中京・芝1200m)を制した"スプリント王"ビッグアーサー(牡5歳)が、休養明けのセントウルS(9月11日/阪神・芝1200m)も快勝し、一段と注目を集めています。

 しかも、その前哨戦では逃げ切り勝ちと、今までにない内容で勝利しました。これは、絶好のスタートを切ったこと、他にハナを主張してくる馬がいなかったことで、鞍上の福永祐一騎手が選択した形ですが、内枠だったこともあって「行けたら、逃げてみよう」と、事前にある程度想定していたことだと思います。そして、これまでと違う競馬で結果を出したことで、パッと見「(ビッグアーサーに)新たな引き出しが増え、器用さも出てきた」と、周囲には捉えられているのでしょう。

 ただ、騎手の目線で前走を見ると、行かしてしまったことで、今度は控えるのが難しくなるような気がしています。そのうえ、3コーナーの入り口付近、残り1000mのハロン棒を過ぎる辺りで、外からスノードラゴン(牡8歳)が先手をうかがってきたときに、福永騎手は引くことなく、さらに(前へ)行かせました。

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