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【競馬】高松宮記念、「控える」ミッキーアイルが狙えるワケ (2ページ目)

 さて、今回の「ヒモ穴馬」ですが、1200m戦のGIに初参戦となるミッキーアイル(牡4歳)を取り上げたいと思います。人気のある馬なので、単勝は上位に支持されるかもしれませんが、1200m戦の実績がないことや、大敗もあるムラ駆けタイプであることから、連複や3連単などの馬券では過剰な人気にはならないと思います。

卓越したスピードを秘めるミッキーアイル。卓越したスピードを秘めるミッキーアイル。 ミッキーアイルは、昨年のNHKマイルC(5月11日/東京・芝1600m)の勝ち馬で、未勝利戦から5連勝でGI制覇を果たしました。しかも、すべて逃げ切り勝ち。それも単なる逃げ切りではなく、ミッキーアイル自身は自分のペースで走っているだけで、他の馬とは持っているスピードが違っているように感じました。ゆえに、「おそらく同馬は、逃げなくても勝てるだろう」と思っていました。

 ところが、昨秋のマイルCS(11月23日/京都・芝1600m)、暮れの阪神C(12月27日/阪神・芝1400m)と、控えた競馬をしたところ、13着、7着と大敗。馬込みに包まれるなど、決して厳しいレースを強いられたわけではないのに、結果を出せませんでした。それまで逃げて勝っていたため、やはり前に馬がいると気になって、自分の競馬ができなくなってしまったのでしょうね。

 この連敗から、もう控えることはしないと思ったのですが、前走の阪急杯(3月1日/阪神・芝1400m)でも再び控える競馬に徹してきました。そのうえ、今度は外からかぶされるなど、厳しい展開になったのですが、直線ではしっかりと伸びて、勝ちに等しい2着と好走しました。

 マイルCS以降、おそらく厩舎サイドやジョッキーが、ハミ()やメンコ(馬の顔にかぶらせる覆面。主に周囲の音を遮断する効果がある)などの馬具や、気性を成長させるための調教など、試行錯誤を繰り返しながら、最善の方法をずっと探ってきたのでしょう。その成果が、阪急杯で実を結んだのだと思います。
※馬の口に噛ませる棒状の金具。それが騎乗者の手綱につながっていて、騎手は手綱からハミを通じて馬を動かす。

 こうなってくれば、もう崩れることはないでしょう。初の1200m戦にしても、控える競馬ができるようになったことで、逆にこなしてくれると思います。

 というのも、短距離の逃げ馬は単純に速い馬ばかりですから、逃げることになれば、マイル戦以上にスピードが問われます。ミッキーマイルならば、それでも逃げるスピードはあると思いますが、息が入らずに厳しい展開に巻き込まれてしまう危険があります。しかし、控えてスピードをためることができれば、それを最後の直線で生かせるはずです。

 控える競馬を覚えたミッキーアイル。GIの舞台で、どんな走りを見せてくれるのか、楽しみです。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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