【競馬】高松宮記念、「控える」ミッキーアイルが狙えるワケ
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
3月29日、春のGIシリーズの幕開けを告げる、高松宮記念(中京・芝1200m)が開催されます。そして、2週後には桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)、その翌週には皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)と、いよいよ3歳クラシックも始まりますね。
また、この週末(3月28日)は、ドバイワールドカップデー。今年も多くの日本馬が参戦し、GIIのUAEダービー(メイダン・ダート1900m)に3頭(※)、GIシーマクラシック(芝2410m)に2頭、そしてGIワールドカップ(ダート2000m)にも2頭が出走します。昨年は、ジャスタウェイ、ジェンティルドンナが勝利して日本競馬のレベルの高さを証明してくれました。今年も、日本を代表するトップクラスの馬たちが挑んでいるだけに、期待が膨らみますね。
※日本の出走馬は、UAEダービー=ゴールデンバローズ(牡3歳)、タップザット(牡3歳)、ディアドムス(牡3歳)。シーマクラシック=ハープスター(牝4歳)、ワンアンドオンリー(牡4歳)、ワールドカップ=エピファネイア(牡5歳)、ホッコータルマエ(牡6歳)
話を戻しましょう。肝心の高松宮記念ですが、カレンチャン、ロードカナロアが引退後(2013年末)は、スプリント界では抜きん出た馬が不在。戦国ムードが漂っています。本来であれば、ロードカナロアと激戦を演じてきたハクサンムーン(牡6歳)あたりが、"ポスト・ロードカナロア"としてトップに立つのではないか、と思われたのですが、昨年は今ひとつの結果に終わってしまいました。
そんなハクサンムーンに代わって、昨年のスプリント路線で常に上位を争っていたのは、昨秋のスプリンターズS(10月5日/新潟・芝1200m)を制したスノードラゴン(牡7歳)と、同2着のストレイトガール(牝6歳)でした。現時点で番付をつけるとしたら、この2頭が上位となるでしょう。しかし、この2頭にしても、ロードカナロアやカレンチャンに比べると、やや小粒。決して"横綱級"とは言えません。まして、スノードラゴンは今回出走しないため、混戦模様に一層拍車がかかっていると言えます。
そうした状況を考えると、唯一の外国馬エアロヴェロシティ(せん7歳/香港)に、注目しないわけにはいきません。なにしろ、昨年暮れの香港スプリント(1着。12月14日/香港・芝1200m)で、ストレイトガール(3着)、スノードラゴン(8着)を一蹴していますからね。ホームとアウェーの差があったにせよ、そのレース内容から2頭との"勝負づけはついた"ともとれます。もちろん今回は、エアロヴェロシティにとって、アウェーとなり、慣れない左回りという課題もありますが、出走馬の中では国際レーティング最上位。その実績からしても、軽くは扱えません。
エアロヴェロシティに対抗する日本馬となると、実績的にはやはりストレイトガールとなるでしょう。ただ、同馬はいまだビッグタイトルを手にしていません。加えて、今回が昨年末の香港スプリント以来のレース、というのも少し気がかりです。鉄砲(休養明け)実績があるので、心配ないのかもしれませんが、昨年は高松宮記念も、スプリンターズSも、重い馬場のタフなレースで行なわれました。そこで目いっぱいの競馬をして、なおかつ香港遠征を敢行。相当な疲れが残ったとしても不思議ではありません。前哨戦を使わなかった理由がその辺にあるとしたら、不安材料になるかもしれませんね。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。