【競馬】名牝ジェンティルドンナがJCの借りを有馬で返す! (3ページ目)
管理する石坂正調教師はジャパンカップのレース後、すぐにグランプリ参戦を表明した。心残りとは、不完全燃焼だったレースぶりによるものだ。レース後、手綱を取ったムーア騎手は、敗因を前日の雨によって柔らかくなっていた馬場に求めた。主催者発表は良馬場だったが、硬く乾いたのではなく、緩く乾いたもので、ジェンティルドンナの武器であるキレ味を活かせる馬場ではなかったのだという。完全な力負けでないことを証明するためのラストランだ。
結果と内容次第では引退戦とも考えられていたジャパンカップだったが、皮肉にもその後の方が状態も上がってきているという。
「4、5歳の春にドバイ遠征があったため使い込まず、3走続けて使うのは一昨年のジャパンカップ以来。牝馬にもかかわらず使いながら良くなるタイプで、当時は秋一番の仕上がりに見えました。実際にレースでもオルフェを競り落とし、3着以下に大きな差をつけました。休み明けを2度使い、『年を取ったぶん、使っていった方がいい。ジャパンカップの時よりいくらか良く感じる』と日迫厩務員が言えば、一週前に騎乗した戸崎圭太ジョッキーも『天皇賞の時より気持ちが入っていましたし、迫力がありました』と好感触でした」
そう語るのは、ジェンティルドンナのデビュー前から取材を続けてきたスポーツ報知の橋本樹理記者。好調時もそうでないときも見続けてきた橋本記者はさらに続ける。
「一週前も併せ馬でしっかり追い、悔いのない仕上げ。軽い馬場がいいタイプなので中山のタフな馬場がどう出るかですが、路盤から改修されてコンディションのいい今の中山なら、納得のいく状態で臨めるのではないでしょうか」
3年前のブエナビスタもそうだったように、牝馬の引退レースは枯れた花弁が落ちるようにひっそりとした結果のものが多い。しかし、ジェンティルドンナは常にこちらの想像を超える結果を出してきた。勝てば歴代最多タイのGI競走7勝目。海外GI勝ちのある馬としては初の7勝目となる。“名牝”の枠に収まらない稀代の名馬は最後にどんな驚きを残すだろうか。
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