【競馬】名牝ジェンティルドンナがJCの借りを有馬で返す! (2ページ目)
一方、バトンを受け取ったジェンティルドンナは快進撃が始まる。春は桜花賞(GI、阪神芝1600m)、オークス(GI、東京芝2400m)とクラシック二冠を制覇。秋もローズS(GII、阪神芝1800m)から秋華賞(GI、京都芝2000m)と勝利して、史上4頭目の牝馬三冠を達成すると、その勢いに乗って、凱旋門賞で勝ちに等しい2着となったオルフェーヴルをもジャパンカップ(GI、東京芝2400m)で撃破してしまう。3歳牝馬にしてジャパンカップを制するのは史上初めてのことだが、それ以上に、あのオルフェーヴルを相手に馬体を擦らせながら一歩も引かずに捻じ伏せたという、3歳牝馬らしからぬ逞しいレースぶりは大きな衝撃を与えた。
4歳を迎えたジェンティルドンナは牝馬同士の戦いには見向きもせず、超一線級の牡馬とのレースに身を投じ、さらに結果を出していく。ドバイシーマクラシック(GI 、メイダン芝2410m)ではセントニコラスアビー相手に最後まで食い下がり2着となり、その秋のジャパンカップでは史上初の連覇を達成。さらに翌年のドバイシーマクラシックでは、周りを完全に囲まれた絶体絶命の状態から一瞬の切れを見せてシリュースデゼーグル以下を一蹴し、ついに海外でもGI勝利を果たした。
史上初の父娘三冠、史上初の3歳牝馬でのジャパンカップ制覇、さらに史上初のジャパンカップ連覇、そして日本調教牝馬として初のドバイシーマクラシック制覇。これ以上何を望むのかというほどに次々と新たなステージを切り拓いてきた。
しかし5歳になると「らしからぬ」レース振りを見せるようにもなっていた。今年初戦の京都記念(GⅡ、京都芝2200m)では、早めの競馬から伸びを欠き6着。続くドバイで結果を出したことで、この敗戦はひと叩きとしてノーカウントとも扱われかけたが、前半の総決算である宝塚記念(GI、阪神芝2200m)でも、まったくいいところもなく9着に敗れてしまう。負けたとしても大きく崩れることがなかっただけに、衰えを危惧する声も少なからず聞こえるようになった。
迎えた最後の秋シーズン。天皇賞・秋(GI、東京芝2000m)から始動し、空前絶後のジャパンカップのV3を最大目標とされた。休み明けの天皇賞を前年と同じく2着とし、満を持してライアン・ムーア騎手を鞍上に配して臨んだジャパンカップだったが、エピファネイアの覚醒の前に4着に敗れる。
もう、これで終わりなのか。しかし......。
「やっとの4着なら引退だったろうけど、このままでは心残りがある」
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