【競馬】朝日杯FS、コスモナインボールが良血馬を出し抜く
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
12月21日に行なわれる朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯)。今年から阪神競馬場(芝1600m)に舞台を移して開催されます。第1回(1949年)から、12月に中山競馬場で行なわれてきた伝統の一戦。師走の名物GIでもあったので、関東の人間としては、少し寂しい気がしますね。
1986年~1995年までの10年間では、メリーナイス(1986年)、サクラチヨノオー(1987年)、アイネスフウジン(1989年)、ミホノブルボン(1991年)、そしてナリタブライアン(1993年)と、ダービー馬を5頭も輩出。かつて朝日杯は、「ダービーへの登竜門」と言われた時期もありました。
それが、近年では中山のマイル(1600m)戦というトリッキーなコースが嫌われてか、クラシック候補と言われる素質馬たちの出走が減少。単に「2歳牡馬のナンバー1決定戦」というイメージが色濃くなってきたように思います。
そういう意味では、開催場所を移すこともわからないではありません。阪神の芝マイル戦は、2歳牝馬の頂点を競う阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF)と同じ舞台。ここをステップにして、ウオッカやブエナビスタ、アパパネなど、数多くの名馬が誕生しました。トリッキーで乱ペースになりやすい中山のマイル戦に比べて、スタートしてからの直線も、最後の直線も長く、非常にゆったりとした競馬になりやすく、若駒を成長させる意味では断然にいい舞台だからでしょう。
朝日杯が阪神に移って、年末に中山で開催されてきた2歳のオープン戦、ホープフルS(芝2000m)が今年から重賞に格上げされました。仮に今後、同レースがGIになったとしても、前述したような阪神・芝マイル戦の好条件を考えれば、朝日杯のほうにクラシックを見据える期待馬が多く出走し、以前のように「ダービーへの登竜門」と言われるようになるかもしれませんね。
さて、今年の朝日杯で注目されるのは、何と言ってもアッシュゴールド(牡2歳)でしょう。ご存知のとおり、全兄にあの"怪物"オルフェーヴルがいます。同じ全兄のドリームジャーニーやリヤンドファミユ(牡4歳)と違って、毛色もオルフェーヴルと同じ栗毛と似ているため、余計にオルフェーヴルと重ね合わせて見ている人が多いのではないでしょうか。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。