2014.01.05

【競馬】ディープブリランテは、生後わずか15分で起き上がった

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 写真提供:パカパカファーム

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第26回

パカパカファームが大きな期待を持って導入した繁殖牝馬のラヴアンドバブルズ。2009年5月、ディープインパクトの仔を宿した彼女は出産のときを迎えていた。このとき、お腹の中にいた馬こそ、牧場の名を一躍有名にしたディープブリランテ。のちに日本ダービーを制した同馬は、どのような誕生を迎えたのか。その瞬間に迫る――。

生まれた翌日に撮影されたディープブリランテ。 サラブレッドの出産期は春。といっても、子どもが生まれるタイミングはそれぞれ異なり、早い馬では1月下旬に、遅い馬では6月初め頃に出産する。そのため1月下旬から6月初頭は、競走馬の生産牧場にとって「繁忙期」となる。

 パカパカファームでも毎年このシーズンになると、スタッフは24時間体制で繁殖牝馬を管理する。長年、同牧場で夜の時間帯を任されているのは、フォーリングマネジャー(生産担当)の伊藤貴弘氏。2009年、ディープブリランテが生まれたその夜も、彼は母馬ラヴアンドバブルズの様子を間近で見ていた。

「5月8日の深夜2時頃にお産が始まりました。ラヴアンドバブルズは自身の馬体も立派で、一族の馬たちも日本で活躍していたので、その出産には個人的にも特に注意を払っていました。父もディープインパクトですから、『いよいよ』という気持ちでしたね。生まれてくる仔への期待は高まるばかりでした」(伊藤氏)

 もちろん、パカパカファームの代表ハリー・スウィーニィ氏も、ラヴアンドバブルズの出産を気にかけていた。普段、深夜の出産は伊藤氏に一任しているが、このときだけは「深夜でも構わないから出産が近づいたら連絡してほしい」と伝えていたという。そしてスウィーニィ氏は、その伊藤氏の連絡を受けて、深夜2時過ぎに牧場へと駆けつけた。