「私、どうしたら優勝できるんでしょうか?」菅沼菜々に直撃された永久シードプロが悲願達成までの秘話を明かす (3ページ目)
その時の、彼女の切実なエネルギーの強さは、ちょっとたじろぐほどでした。と同時に、私から見れば『彼女は今(プロとして)6合目くらいにいる感じかな』と思っていたら、『もう9合目に立とうとしているんだ』と思い、驚きました。
ただ考えてみれば、見た目のイメージとは違って、仲のいい稲見萌寧さんに触発されてトレーニングにキックボクシングを採り入れるなど、彼女のひたむきさ、向上心や貪欲さを評価する人は多いんですよね。
それでその時は、お父さんと取り組んでいることなどを含めて、『あなたのやっていることは間違っていないよ』と言いました。そうしたら、彼女は『わかりました!』と言って、元気に帰っていきました。
でもその後も、何度か優勝争いに顔を出しながら、あと一歩及びませんでした。勝負どころとなる15番、16番あたりで、得意とするアプローチのミスによって勝てないこともありました。メルセデス・ランキング8位と飛躍を遂げるシーズンになりましたが、課題の残ったシーズンでもあったかもしれません」
迎えた今シーズン、菅沼はその課題を克服。8月のNEC軽井沢72において、勝負どころで真価を発揮した得意のアプローチによって、念願の優勝を手繰り寄せた。
「本戦の最終18番、菅沼さんの第2打はグリーン左のラフへ。3打目に難しいアプローチが残りました。1打差で追う神谷そらさんがバーディーチャンスにつけていましたから、もしボギーにしてしまうと逆転負け、という状況。
そこで、菅沼さんは難しいアプローチを見事に寄せきってパー。神谷さんとのプレーオフに持ち込んだ。あのパーセーブはすごかったですね」
悲願の優勝を目前にして「寄せたい、勝ちたい」という気持ちに執着しすぎていたら、前年までのようにミスして自滅しても不思議はなかった。だが菅沼は、自らがピンチにあって、優勝を争う相手がバーディーチャンスにつけている状況にとらわれず、圧巻のアプローチを見せた。
歓喜する菅沼を見ながら、森口プロは彼女のある変化に気づいたという。
「ふと、菅沼さんがしているリボンが短くなっていることに目がついて。『あれ、いつからだろう?』と気になったんですよね。それで、お父さんに聞いたんです。すると、あとから『"最近、そうだよ"ってサラッと言われました』というメールのメッセージが(お父さんから)きました。
でも本当は、何か心境や、ジンクス的な変化があったのか。今度本人に会ったら、直接聞いてみようと思っています」
本人のなかで、何かしら"変化"があったのか。いずれにしても、昨季の課題を克服し、着実に成長を重ねる菅沼のプレーからは、今後も目が離せない
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