【木村和久連載】ゴルフの平日会員権の疑問。メリット、デメリットは? (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 預託金はメンバーの退会時に返還するルールですが、健全な経営をしているコースなら、額面100万円のところを、市場価格では150万円で売買できたりしていました。そうなると、やめる時は皆、会員権市場で高く売りますから、誰も預託金をゴルフ場には請求しません。

 結果、コースもお金を返さなくて済んで、双方ウハウハだったのです。

 ところが、時代が変わってバブルが崩壊すると、ゴルフ場に預託金請求が殺到。コース側の多くが「預託金返還猶予期間10年延長」などの手段を取って逃げたりしたのですが、最終的には「預託金の額面95%カット」などという強硬手段に出て、雀の涙ほどのお金をメンバーに返して終わりにしたのです。すべて時代のせい、と言いたいわけです。

 結局、プレー権だけが残って、売買しても値段がつかない平日会員権が、今でも全国にたくさんあります。それが、現状です。

 だいたい、現在はネット予約が全盛。ビジターでも普通に予約してプレーできる時代となりました。平日会員権を買うメリットは、一段と薄れています。

 では、いまだ売買されている平日会員権はどうなっているのか? そして、誰が買うのでしょうか?

 平日会員権がしっかりと売買されているのは、正会員価格が200万円以上の名門、準名門コースです。つまり、ネットでも平日での予約が取りづらいから、会員権を買う人がいるのです。

 平日会員でもメンバーですから、ステイタスはものすごくあります。だったら、平日に仲間を連れて、気軽にプライベートラウンドを楽しむ分には、平日会員で十分じゃないですか。

 そもそも名門コースの土日は、ビジター料金が3万5000円とかしますからね。プレー代が滅茶苦茶高いです。そうなると、一緒にお付き合いするビジターも平日プレーを望みますから、なおさら平日会員のほうがよかったりします。

 以前、超のつく名門コースに何度か行きましたが、ラウンドするのは真冬の2月と、くそ暑い8月と、相場が決まっていました。というのも、冬と夏はお金持ちのメンバーさんたちは、どこぞのリゾート地へと出かけていて、あまりコースには来ないからです。その間、コース側は割引券を配布。「滅多に来られないビジターさん、遊びに来てくださいね」と、なっているわけですな。

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