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【木村和久連載】優秀なコーチが
力を発揮する環境を日本で築くには? (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

(1)監督やコーチは元名選手ばかり
 日本のプロスポーツ界はおおよそ、現役時の成績によって序列が築かれます。だから、現役時代に活躍した選手は、指導者としての資質はともかく、スライド的にコーチや監督になり得ます。

 この最たる例が、相撲と野球でしょう。日本のこの2大メジャー競技が、さほどよろしくない伝統を、延々と守っているんですね。

 そうした状況にあって、優秀な指導者というのは、なかなか生まれません。先日亡くなられた野村克也さんみたいな、論理的&合理的な指導法をする方は、滅多にいませんから。

 しかも野村さんは、三冠王を獲ったことがある名選手です。

 そこが問題というか、肝と言えます。

 相撲の世界ではよく、親方が平幕止まりなのに、その部屋に横綱がいることがあります。その横綱は、平幕止まりの親方の話に耳を傾けるのか?

 たぶん、答えは「ノー」でしょう。もちろん、当初は親方の言うことを聞いていたかもしれませんが、大関や横綱に出世してからは、親方の話をそこまで熱心に聞かなくなっているのではないでしょうか。

 要するに、野村監督にしても、そもそも三冠王を獲っているから、選手が耳を傾けたんですよね。

 結局、プロ野球の監督や大相撲の親方の威厳は、現役時代の成績に比例します。そうした世界にあっては、専門のコーチがなかなか育たないし、指導者としてのスキルが高くても「あんた、オレより、勝利数多いの?」「何回、優勝したの?」と選手から見下されて、いいコーチが日の目を見ることは少ないんでしょうね。

 ゴルフにおいても、男子の場合はそうしたことが言えるかもしれません。

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