2019.11.25

奇跡呼ぶ渋野日向子。鈴木愛と
追いつ追われつドラマのような「名勝負」

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images


「らしい」ゴルフで見事な逆転優勝を飾った渋野日向子 鈴木との一騎討ちを制し、逆転優勝を飾った渋野はこう語った。

「これまで、自分が勝つことで、ギャラリーの方々が喜んでくれた。今日は、1年間応援してくださっていたみんなの前で、成長した1年間の集大成を見せられるようにがんばりたいと思って戦いました。最高の結果に終われてうれしい」

 コース脇でその姿を見守っていた青木コーチは、「あいつらしさが出ていた。初日からですけど」と言ったあと、声色を変えてこう続けた。

「いや、すごい試合をするな、と。相手が(鈴木)愛ちゃんだったから、こんないい戦いができたのかな、と。みなさんは賞金女王の話をしますけれど、最終戦(LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ)も、あいつらしい戦いをしてほしい。

 結果的に、先週(伊藤園レディスで)予選落ちしたことがよかったのかなと思います。僕としては『やっと(予選を)落ちた』と思いました。予選を通過して、ある程度上位に居続けたら、自分の中で反省しなくてはいけないことを、反省し切れないでいることが出てくる。

 それが、予選を落ちたことで、自分を見直す機会ができた。『ゴルフが中途半端になっているんじゃないか』『攻めるしかできないのだから、もっと思い切っていけよ』と。もちろん、(渋野に)そういう言葉は使っていませんが、そういうふうに彼女が受け取ってくれればいいな、という話をしました。まあ、(渋野が)本当に変わったかどうかは、また来週、わかると思います」

 次週は、いよいよツアー最終戦となるLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(11月28日~12月1日/宮崎県)。渋野は、鈴木、申ジエを抜いて、賞金女王に輝くことができるか。

 4つある国内メジャー大会のひとつでもあるが、大会への抱負について問われた渋野は、そのことを認識していなかったようで、「リコーって、メジャーなんですか?」と、目を白黒させていた。鈴木と東京五輪の出場権を争う世界ランキングにも影響する重要な試合だというのに、だ。

 優勝が決まった直後こそ涙を流した渋野だが、最後は周囲の笑いを誘う、いつもの”シブコ”に戻っていた。

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