渋野日向子は、周囲が騒がしくても、体調が悪くても、なぜ強いのか

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 日本女子ツアーのニトリレディス(8月29日~9月1日/北海道)は、ツアー屈指の実力者たちが熾烈な優勝争いを展開。最終的には、一昨年の賞金女王である鈴木愛(25歳)が通算11アンダーで優勝し、今季4勝目を飾った。

「この1カ月は、まったく自信がなかった」という鈴木だが、2日目を終えてトップタイに躍り出ると、3日目、最終日も安定したプレーを披露。最終的にアンダーパーが18人という難コースにありながら、唯一のふた桁アンダーをマークして、あらためて実力の高さを示した。

 そんな鈴木の強さが際立った大会ではあったが、大会を通して話題の中心にいたのは、やはり全英女子オープンの覇者、渋野日向子(21歳)だった。

 体調が悪いなかでも、きっちり優勝争いに加わって、通算7アンダー、単独5位でフィニッシュ。さらに、国内ツアーにおける連続イーブンパー以上(連続オーバーパーなし)のラウンド記録を「28」まで伸ばして、アン・ソンジュ(32歳/韓国)の最多記録に並んだ。

ニトリレディスでも優勝争いを演じた渋野日向子ニトリレディスでも優勝争いを演じた渋野日向子 今回もまた、多くのファンやメディアの期待に十二分に応えた渋野。その奮闘ぶりには頭が下がる。「お見事」という言葉しか出てこない。

 全英女子オープンから帰国後、彼女を取り巻く環境は一変した。そうした状況にありながら、当初の予定どおりにハードスケジュールを消化。北海道meijiカップで13位タイと健闘し、続くNEC軽井沢72トーナメントでは優勝争いまで演じて3位タイの成績を収めた。そして、プレー中はいつもと変わらぬ「シブコ・スマイル」でギャラリーを魅了した。

 だがその間、まさしく疲労困憊だったはずだ。ゆえにその後、1週間のオフウィークを過ごしたとはいえ、肉体的にも、精神的にも、完全にリフレッシュできたとは言い難い。しかも、"渋野フィーバー"が一段と増しているなかで、渋野が本当に気持ちを休めることができた時間は、どれほどあったのだろうか。

 それを思えば、ニトリレディスを前にして発熱したことも頷ける。練習ラウンドをキャンセルし、病院で診察を受けると、急性副鼻腔炎と診断された。

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