2019.07.13

体で模したキレイな「く」の字。
石川遼の「第2章」はこれからだ

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Kyodo News

 伝統ある日本プロゴルフ選手権で、石川遼は2016年のRIZAP KBCオーガスタ以来、3年ぶりの優勝を果たした。

日本プロ選手権で優勝した石川遼『運』もあった。

 最終日、17番ホールを迎えた時には、トップのハン・ジュンゴンに2打差をつけられていたが、その17番でハン・ジュンゴンがティーショットを池に入れてダブルボギー。この時点で石川はトップに並び、そのまま勝敗の行方はプレーオフに持ち込まれた。

 プレーオフでも、石川の放ったティーショットのボールが、右サイドのカート道路を跳ねてフェアウェーの真ん中に出てきた。セカンドショットを打つ際、石川自身、「自分でもびっくりするほどの幸運を、必死に生かさなきゃと思った」と言う。

 そして、残り200ヤードのセカンドショット。5番アイアンで打った石川のショットは、見事なドロー弾道を描いてピン奥4mに止まるナイスショットだった。

 この一打を放った時の、石川の背中がすごかった。白いシャツの背中に斜めにねじれたシワが浮き上がり、充実した背中の筋肉が背中の起き上がりを許さず、飛球線の後方から見て、体全体が『く』の字を模していた。

 2016年以来、腰に不安を抱える石川にとって、この日の36ホールのラウンドはキツかっただろう。実際、36ホール目となる本戦の18番ホールのセカンドショットでは、フォローで体が起き上がって、グリーンはとらえたものの、ボールは狙いよりも右に飛び出していた。

 にもかかわらず、37ホール目となるプレーオフでのセカンドショットでは、見事に体の起き上がりを抑えて、ピンをさしてきたのである。石川が「運を生かす」と期して打った、この渾身の一打を支えた背中の充実は、2カ月前から始めたトレーニングによって充填されたものだった。

 今季の春先はとくに腰痛がひどく、石川自身にとって国内初戦となった5月の中日クラウンズでは、初日終了後に棄権を余儀なくされた。それから1カ月後、6月の日本ゴルフツアー選手権でツアーに復帰した石川は、「1カ月前からトレーニングを始めている」と明かした。その理由については、こう語っている。