【木村和久連載】アップダウンのあるコースは、お好きですか? (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 設計者がどうやって高低差を利用してゴルフを楽しませているのか。私が昔メンバーだった鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)を例にして、ちょこっと説明してみたいと思います。

 鶴舞CCは、井上誠一設計の東西合わせて36ホールある雄大なコースです。平らなコースだけ回ろうとするなら、東のアウト、西のインという選択があります。このルートなら、ほぼまっ平らな林間コースとして堪能できます。

 ただ、唯一例外なのは東の9番。そこは、きつい上りのコースです。8番までは平坦だったのに、突如『進撃の巨人』登場かと思うような、目の前に巨大な"壁"が現れます。ほんと「えぇ~、マジ!? この壁を越えていくの?」って感じですよ。

 しかも、距離が420ヤード。極端な上りですから、実質450ヤードぐらいはあるんじゃないでしょうか。自慢じゃないですが、バックティーから打って、パーオンしたことは一度もありませんから。

 打つ側とすれば、平らな面に慣れてしまっているので、つい"明治の大砲()"になりがちです。井上誠一はそのことを見越して、わざと最後は上りのきついホールにしたそうです。
※明治時代に使用されていた大砲に由来する、悪いスイングを比喩した言葉。体重が右足に残ったままになり、後方によろけてしまう打ち方。

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