世界中で悲鳴。「スピースの悲劇」に想うマスターズ大崩れの歴史
マスターズの最終日は毎年、会場となるオーガスタ・ナショナルGC内のあちらこちらで歓声がこだまする。そのつど、別の場所でも「誰がイーグルを取ったのだろう?」とどよめき、「もしや、誰かが池に落としたのか?」と想像してざわめきが起こる。
優勝争いがバックナインに入っていくと、その歓声は一層大きくなる。だが今年の最終日、首位でスタートしたジョーダン・スピース(22歳/アメリカ)の12番パー3でのプレーには、大きな悲鳴が会場中にこだました。それはおそらく、世界中に広がったのではないだろうか。
スピースは、前半の6番から4連続バーディーを奪うと、通算7アンダーとし、2位に5打差をつけて大会連覇へ独走態勢に入った。
「(連覇の)夢が現実となったようなフロントナインだった。だから、バックナインはパープレーでいければ勝てると思った。それが、間違いだった......」
スピースの、そんな心の隙を"オーガスタの魔女"は見逃さなかった。
オーガスタの11番~13番の3ホールを「アーメンコーナー」と呼ぶ。「神に祈るようにプレーしないと、無事に通り抜けられない」と言われているからだ。そしてそこには、「魔女が棲む」と言われる。
少し早い魔女の悪戯か、スピースはバックナインを迎えて10番、11番と連続ボギーを叩いた。「それでも、まだ勝てると思っていた」とスピース。
迎えた12番パー3(155ヤード)。グリーン手前にクリークのあるホールだ。
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