美女ゴルファー・森美穂。涙を流した数だけ、本当に強くなった (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 そんな中、2012年のQTも当然結果は出なかった。サードQTまで進んだものの、そこで通算24オーバー、102位の最下位に終わった。

「そのとき、初めて将来について、どうしようかなって考えました」

 3歳からクラブを握り、将来はプロになることを疑わなかった彼女。初めてゴルファー以外の人生を歩む可能性が頭を過(よぎ)る。1カ月間、競技から完全に離れ、心は引退に傾きかけた――。

 迷える森を救ったのは、福井工業大学附属福井高時代の恩師だった。恩師は彼女にこう言った。

「帰ってこい。帰ってきて、こっちで立て直せ」

 森は、2013年2月に愛知から福井に拠点を移し、母校の現役ゴルフ部員とともに練習する日々を過ごす。そのとき、恩師に言われた言葉を、今も覚えている。

「2年かけてダメになったんだ、戻すのに少なくとも2年はかかって当然。どうしたらよくなるか、何をしたらいいか、考えても出てくる結論はひとつ。練習すること。練習する以外に、おまえがよくなる道はない」

 森は、その言葉を信じ、学生時代と同じように基礎練習を反復し続けた。何も考えず、ただ毎日、ひたすらボールを打ち続けた。

 その間、2013年のプロテストは2次予選で敗退。2014年は最終プロテスト最終日まで進むが、通算10オーバー、73位タイで再び不合格。恩師の言葉どおり、すぐに結果は出なかった。が、森は諦めなかった。

 ある日、先輩プロ・原江里菜に言われた言葉も、折れそうになる森の心を支えた。

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