【木村和久連載】なぜ日本のゴルフ中継はつまらなくなったのか (3ページ目)
一方、日本のコースとなると、樹木をメインとしたハザードが多いです。これは、当時池をつくる予算も技術もなかったし、そもそも丘陵にコースをつくると、池が沼になってしまって、牛ガエルが吠える(?)状況となります。水面が映える綺麗な池のコースなんて、富士山周辺の一部のコース(太平洋クラブ・御殿場コースとか)ぐらいじゃないですか。
従来の林間コースは、フェアウェーの真ん中に御神木があり、そこを越えさせるか、避けさせるか、そういう戦略の設計が多く見られます。難易度は高いのですが、テレビ的にどうでしょう……。
モニターに映るのはすべて木ですから、距離感を表現しづらい。芝も、樹木も緑色じゃあ、コントラスト的にも厳しいです。そうすると、その難しさを視聴者が共有するのはなかなか困難でしょうね。
遊園地のアトラクションのようなコースがあったら、意外と面白いかも……。 日本もバブルの頃は、池を駆使した戦略的コースをつくったのですが、その後、経営先がコロコロと変わっていくにつれ、ビジターをたくさん入れるために、改造して簡単にした経緯があります。
結局のところ、ビジュアルに冴え、志が高い戦略的なトーナメントコースをつくっても、試合は1週間で終わってしまいます。残りの350日以上は、100叩くアベレージゴルファーに開放せにゃならない。
トーナメントプロも、平均的なアマチュアも喜ぶコースづくりは、ほんと難しいようですね。
木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。
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