【ゴルフ】韓国代表監督が教える「正しいスイング」とは? (2ページ目)

  • 慎 武宏●取材・構成 text by Shin Mukoeng
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 私は、彼が中学校1年生の頃からおよそ10年間指導してきました。彼は当時から瞬発力が素晴らしく、現在もその瞬発力がスイングフォームのポイントとなっています。テイクバックがゆっくりしていて、スイングのテンポも決して速くはないものの、インパクト時のヘッドスピードだけがとても速いのです。それは、先天的な瞬発力があるからこそ、実践できています。

 唯一、キョンテのスイングには手首に負担をかけてしまうクセがありましたが、彼は手首の小さな筋肉を繊細に使って、うまくボールをコントロールする"フィーリング"を持っていたので、その長所を生かしながら、手首への負担を最小限に抑えるスイングを作っていきました。今でも若干手首を使いすぎる傾向があって、ケガをしないか心配ですが、キョンテのゴルフは正確で、スイングも美しく、ブレもありません。

 とはいえ、そのスイングが今日のスタンダードで、一般ゴルファーがそっくりそのまま真似ればいい、というわけではありません。スイングには流行がありますし、キョンテのスイングはキョンテにしかできないものです。

 では、"正しいスイング"とは何か。

 ありきたりな言い方になってしまいますが、自分に合ったスイングが"正しいスイング"なのです。それぞれの身体条件や特長に合ったフォームで、自然に振り抜けるスイングこそが、"正しいスイング"だと私は思います。

「十人十色」という言葉があるように、人はそれぞれ身長も異なれば、手足の長さも、体や筋肉の質も違います。にもかかわらず、型にはめてしまえば、それが窮屈になったり、不自然になったりします。すると、スムーズなスイングはできず、ボールを思うとおりに飛ばすこともできなくなります。

 自分に合ったテンポとリズムで、リラックスした状態でクラブを振り抜くことが、もっとも大切です。理想的なスイングを常に再現するためにも、体に無理をさせるスイングではなく、自分の体に合った"自然なスイング"であるべきなのです。

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