【ワールドカップ】日本代表とスペインとの差は大きく広がった 進化したパスワークでフランスを圧倒した「中盤力」 (3ページ目)
【「壁パス」のお手本のようなゴール】
追加点は後半13分だった。右SBのペドロ・ポロがダニ・オルモとの間でワンツーを決めてDFラインの背後を取ると、GKメニャンと1対1となり、右足でニアサイドを打ち抜いた。サッカーの教科書に載せたくなる「壁パス」のお手本のような、繊細さ溢れるワンプレーだった。
フランスはその直前、バルコラに代えデジレ・ドゥエを投入していた。所属のパリ・サンジェルマン(PSG)では4-3-3の3トップやインサイドハーフを務める多機能型選手であり、フランスきっての技巧派アタッカーだ。スペインの技巧に対抗するためにも先発させたかった選手である。
デンベレを左に、オリーセを右に回せば、エムバペの下にドゥエを据えることもできたはず。CLを2連覇して名将の域に達したPSGのルイス・エンリケ監督なら、このスペインにどう対抗しただろうか。ルイス・エンリケは前スペイン代表監督でもある。解決策を聞いてみたくなる。
狭い局面でもパスコースを作り出す想像力と、それを実現する繊細な技巧――何より、エンタメ性を含めたサッカーというスポーツのマックス値が上昇したような気にさせるスペインの勝利だった。
攻撃的なパスサッカーの追求を怠ってきた森保一監督、並びに日本サッカー関係者は、このスペインの勝利をどう見るのか。4年前から大きく進歩したスペインと、中身的には停滞あるいは後退した日本。トップとの差は、この4年間で大きく広がってしまったと筆者は見る。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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