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【ワールドカップ】サッカー日本代表がはき違えた「一体感」 ベスト8進出国が示した「個」の結束 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

 ラウンド16でノルウェーが、日本が敗れたブラジルに勝利できたのも、「ボールを保持する」という姿勢を崩さなかったからだろう。一進一退の攻防のなか、真っ向勝負の矜持(きょうじ)が流れを引き寄せた。勝因は「アーリング・ハーランドという怪物がいたから」という見解もあるだろうが、彼を最大限に生かすため、ゴールへ向かう姿勢を堅持したことが幸いしたのだ。

 森保ジャパンはグループステージの初戦、オランダ戦でも主導権を握れなかった。6割近くボールを持たれていた。ラウンド32のブラジル戦はさらに顕著だった。辛抱強く戦い、佐野海舟のゴールは見事のひと言に尽きるが、最後は籠城戦になり全滅した。守ることに活路を求めるだけでは、どれだけひとつになっても栄光はつかめない。

 それが、森保ジャパンの8年間の答えだった。

 森保ジャパンは親善試合も含めて、強豪相手に一心同体となって勝利をつかみとってきた。ドイツ、スペイン、イングランド、ブラジルにも勝った。結果は快挙だったが、試合を通して能動的に戦ったことはない。攻撃的センスに恵まれた選手に守備をさせ(ウイングバックでの起用は最悪の発明だろう)、「チームのために頑張って守っている」と祭り上げて、それを「一体感」にすり替えた。

 その虚像こそ、世界のベスト8との差だった。今大会を「惜しかった、もうひと息だった」と総括するなど、とんでもない捻じ曲げである。そこに興じている以上、ワールドカップ優勝などあり得ない。

 森保ジャパンは「一体感」をはき違えていた。長友のように純粋な戦力とは言えない選手を入れて「雰囲気がよくなった」と安堵している時点で、すでに競争力を失っていた。修羅たちが集う戦場で、勝ち残れるはずはなかったのである。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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