【ワールドカップ】サッカー日本代表がはき違えた「一体感」 ベスト8進出国が示した「個」の結束 (2ページ目)
【能動的だからこそ生まれる「一体感」】
ラウンド32のオランダ戦で、モロッコは1-1と日本と同様引き分けており、記録上は勝利ではなく、PK戦での勝ち上がりに過ぎなかった。しかし、モロッコのボール支配率は7割近く、勝ち上がるべくして勝ち上がっている。試合を通じてイニシアチブを握り、12本対6本と2倍のシュート数で常にゴールに向かい、結果につなげたのだ(GKヤシン・ブノがいることで、最後はPK戦での勝利も確信していた)。
ラウンド16のカナダ戦では、モロッコの選手はオランダ戦の激闘の影響で体が重かった。世界最高の右サイドバックと言えるハキミも低調。格下カナダが大観衆の歓声を背に健闘する一方、守勢に回ることもあったが、守りには入っていない。そして敵陣で得たFKで、ハキミが目ざとくペナルティアークでフリーだったアゼディン・ウナヒを見つけ、ウナヒのミドルで先制。その後はブラヒム・ディアスが2アシストの活躍を見せ、最後は3-0の完勝だった。
レアル・マドリードに所属するディアスは、アフリカ最高のファンタジスタだろう。際立つのは両利きであることと攻撃センス。これは鍛えたものではなく、ほぼ先天的な特異性で、バロンドールを受賞したウスマン・デンベレとも同じである。両足のキックに優れているだけでなく、ビジョンにも秀で、どちらの足でボールを持っても、反転しても利き足のようにプレーできる。そのせいで敵はマークを絞れない。
モロッコには、そのディアスが力を発揮できる仕組みがあった。ハキミ、ブノだけでなく、前線で起点になれるイスマエル・サイバリ、キックがうまく得点力もあるウナヒ、18歳で目覚ましいビジョンと技術を誇るブアディ、バルサの薫陶を受けたリアドなど、攻撃的、能動的なサッカーを実践できるだけの選手を擁していた。
ひとりの選手が他の選手に感化されながら、ボールを持ってゴールに向かう。「強い個人の集団」というメカニズムが勝利をもたらした。その「一体感」に彼らの強さはあった。
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