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【プレミアリーグ】アーセナル4冠も視野に 立役者ミケル・アルテタの「指導力」の原点を探る (3ページ目)

  • アルトゥル・レナール●文 text by Arthur Renard
  • 山中忍●翻訳 translation by Shinobu Yamanaka

【「聞くこと」の重要性を理解している】

「たとえば、選手のところにいって言うんだ。『どうして今のプレーを選択したのか教えてもらえる? どうなると思っていた?』のように。頭ごなしに、『今の場面はこうすべきだった』みたいな言い方はしない。まずは必ず、その選手なりの考えや発想を確認していた。そのうえで、『じゃあ、もしボールがあそこに行ったら、どうしなきゃいけないと思う? 相手チームの攻撃を止めて、なるべく自分たちがボールを奪い返しやすい状況に仕向けるには、どうすればいいと思う?』というように、さらに問いかける。それが、彼のやり方だ。

 ほとんどのコーチは、最初から自分の考えを押しつけようとしすぎる。その点、ミケルは聞くことの重要性を自然と理解しているタイプ。私に言わせれば、それが指導の核心でもある。相手の考え方や行動に興味を示し、本当の意味での接点を持つことが大切だ。練習メニューをうまくこなせずにいる子がいれば、彼は肩を抱くようにして声をかけて、話をしていた。すると5分後には、その子が見違えるように溌剌としたプレーを見せていたものさ。ミケルには、そんな指導者として生まれ持った才能がある」

 アルテタとともに行なったU-16チームの練習を、ファン・ローンは「どれもすばらしいセッションになった」と語る。

「選手たちも、ミケルのメソッドにぞっこんでね。説明やアドバイスにも、熱心に耳を傾けていた。練習メニュー自体に関しても、彼のインプットは大きかった。一般的なU-16レベルを超越していたよ。トップチームで採用されているメソッドを、U-16向けにアレンジして取り入れてくれたりしたんだ。

 ミニゲームでは、よく私が一方のチーム、彼がもう一方のチームを受け持った。ビルドアップを目的とした練習で、プレスをかける守備チームを担当した彼は、途中でゲームを止めて、誰がボールホルダーにプレッシャーをかけにいくべきか、その選手のカバーを誰が行なうか、そして周囲のスペースをいかにケアすべきかを丁寧に説明していた。ラインの高さや、プレスを行なうために適切なポジショニングなども含めて」

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