【欧州サッカー】クリロナを罵倒した「パワハラ闘将」ロイ・キーンは、なぜファーガソンに愛され続けたのか (3ページ目)
【テレビカメラの前で同僚を罵倒】
キーンはチームメイトにも容赦なかった。
たとえば、前に行くべきシーンでバックパスに逃げたイェスパー・ブロムクヴィストは、いきなりFワードを浴びせられた。右サイドで無駄なフェイクを繰り返したクリスティアーノ・ロナウドは、キーンに胸ぐらをつかまれて罵られた。
おそらく21世紀では通用しない。パワハラでやり玉に挙げられる。しかし、フットボールにおいて闘争心は戦略・戦術を上まわる重要な要素であり、「頭でっかちの理論だけで勝てるわけねえんだよ!」と、キーンは自分のやり方で若手に立証したにすぎない。
ただ、激しすぎる性格が災いし、2002年の日韓ワールドカップには出場できなかった。ミック・マッカーシー監督(当時)と対立し、アイルランド代表から追放されている。
2005年10月のミドルズブラ戦。1-4で敗れた試合終了後にキーンは、同僚であるエドウィン・ファン・デル・サールとリオ・ファーディナンド、キーラン・リチャードソンをテレビカメラの前で罵倒した。
結果、彼らとの関係は急速に悪化する。敗北に異常なほどの拒否反応を示すキーンらしいエピソードとはいえ、内部批判はご法度であり、許される行為ではない。ただ、ファーガソンは「彼は単なる荒くれ者ではない」とフォローしている。
ファーガソンの言葉を借りるまでもなく、キーンは圧倒的な運動量と類(たぐ)い稀な状況判断で中盤を支え、効果的な縦パスで数多くのチャンスを創出した。絶妙のタイミングで前線に飛び出し、貴重なゴールも決めている。
また、選手交代に伴うプラン変更を即座に察知する天才的なセンスも持っていた。
「ロイは誰よりも素早く、正確にベンチの意図を理解した。影響力も絶大で、ロッカールームの空気が緩んでいた場合は、彼のひと言がいい意味の緊張感をもたらしていた」
監督の負担軽減に努めていたキーンを、ファーガソンも悪くは言えないだろう。
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