プレミアリーグのFW診断 移籍金100億円超のストライカーたちを鄭大世がチェック (2ページ目)
【チームの形に合ったFWとは?】
ベンヤミン・シェシュコ(マンチェスター・ユナイテッド)
移籍金:7480万ポンド/約153億円
プレミアリーグ成績:11試合2ゴール1アシスト
ベンヤミン・シェシュコは、現代的な9番タイプの選手だと思います。身体能力の高さはもちろん、裏抜けを繰り返すことで相手のDFラインを下げて、プレッシングでもスイッチを入れる役割が得意です。
ただ、マンチェスター・ユナイテッドが彼を獲得することは"時期尚早"だと思っていました。直近ではラスムス・ホイルンドやジョシュア・ザークツィーも活躍することができておらず、この環境で結果を残すことは至難の業です。
チームとして多くのゴールを決める選手を必要としていた状況で、ライプツィヒ時代も得点を量産していないシェシュコがチームを勝たせるだけのクオリティがあるのかは、獲得前から疑念を抱いていました。
直近はチームとして勝てる試合も増えてきましたが、シェシュコ自身にはそこまで高いポイントはあげられないと思います。
それでも今のメンバーであれば、ブライアン・エンベウモとマテウス・クーニャのふたりのシャドーにストライカーのシェシュコの組み合わせが一番強烈だと感じています。
シャドーの2選手がライン間でボールを受けて前向きの状況を作り、裏へのボールを出す回数を増やすことができれば、シェシュコの持ち味はさらに引き出されるかもしれません。
現状ワントップで併用されているクーニャは、足下でボールを受けるのが好きなタイプなので、状況によっての使い分けもできると思います。
ニック・ヴォルデマーデ(ニューカッスル・ユナイテッド)
移籍金:6900万ポンド/141億円
プレミアリーグ成績:10試合5ゴール0アシスト
ニック・ヴォルデマーデは、アレクサンデル・イサクが退団した穴を見事なまでに埋めています。
ただ、両者があまりに違うタイプであることから、不安を感じたファンも多かったと思います。
実際にヴォルデマーデはイサクとの比較ではスピードがないので、シンプルな裏抜けやゴール前の細かい動きで相手を剥がすプレーには差がありますね。
それでも加入直後から結果を残すことができているのは、ニューカッスルが「1トップを生かすことに長けているチーム」だということです。右には順足で精度の高いクロスが武器のジェイコブ・マーフィーがいて、左にも積極的に仕掛けることができる選手がいます。
一般的な長身FWはボックス内で足を止めがちですが、ヴォルデマーデは足を動かし続けて相手と駆け引きができるのが特長です。真ん中での崩しでも、連係の部分でも、3人目の動きに絡めるクリエイティブな要素も兼ね備えています。
シュートのミートのうまさも魅力で、回転やバウンドが難しいボールでも正確に鋭いシュートを打てる技術があります。クロスへの入り方も上背があるから有利です。
ニューカッスルというFWが生きやすい恵まれた環境に加え、ヴォルデマーデ自身のクオリティの掛け算の結果が今の好成績につながっていると思います。
2 / 3

