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久保建英はバスクダービーで力強く復帰して監督も安堵「我々が望むタケだった」 (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【力強く復帰した久保】

 そうしたなか、久保にとってバスクダービー(3-2)ほど戦列復帰にふさわしい舞台はなかった。

 右ウイングで起用されたゲデスがすばらしい活躍で得点を挙げたが、後半18分に"試合の流れを変える起爆剤"として投入された久保も、最初2回のプレーでアスレティック・ビルバオを震え上がらせ、3万8000人の観客を沸かせた。どちらのプレーも右サイドでボールを受けた際に持ち味を発揮し、中に切り込んだものだった。

 始めにイニゴ・ルイス・デ・ガラレタのイエローカードを誘発。2回目は攻撃の起点となってザハリャンのゴールをアシストしたが、最終的に自身のオフサイドにより取り消された。ケガから復帰したばかりだったにもかかわらず、いい時間を過ごしていた。

 セルヒオ・フランシスコは試合後、久保の状態について質問された際、「彼の足首が試合に出られる状態であることが確認できた。我々が最近見ていた姿とは違っていたよ。ボールに触れるたびに対峙した相手に脅威を与える能力を発揮し、まさに我々が望むタケだった」と安堵の表情を浮かべて答えていた。

 ラ・レアルのシーズン開幕時の状況は新プロジェクトのスタートとしては理想的ではなく、セルヒオ・フランシスコはクラブに信頼を寄せられて新監督に就任したものの、何節も降格圏に沈んだことから早くも解任の危機に瀕していた。

 10月と11月のインターナショナルブレイク間に行なわれる試合が最後通牒と見られていたが、セルタと引き分け、その後に公式戦3連勝を達成したことで、見事に危機を乗り越えた。その相手にはセビージャ、アスレティックとの重要なホームゲームが含まれているが、特にバスクダービーでの勝利がすべてを決定づけたと言っていい。もし最大のライバル相手に大敗していたら、間違いなく彼の任期は終わっていただろう。

 現地ではチームの低迷時、クラブがセルヒオ・フランシスコを解任した場合に備え、すでに新監督候補と口頭合意に至っていると報じられていた。具体的にチアゴ・モッタ氏とエディン・テルジッチ氏にオファーを断られた一方、ガルシア・ピミエンタ氏はオファー待ちをしていたとされている。さらに4人目の人物まで言及されていた。しかし、チームが調子を取り戻した今、ラ・レアルのベンチを狙う監督たちは、もう少し待たなければならないようだ。

髙橋智行●翻訳(translation by Takahashi Tomoyuki)

著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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