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【プレミアリーグ】グリーリッシュ完全復活の理由は心理的自由 サッカースターの移籍成功例を考察 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【職人的なうまさとインスピレーション】

 グリーリッシュはプレー中によく笑っている。生粋のサッカー小僧はエバートンで再び相思相愛の環境にいられるようになった。

 左サイドに開いてパスを受ける時の右足アウトのワンタッチが絶品で、これだけで相手の重心をずらせてしまえる。さほど速そうに見えないけれども相対的に速い。右アウトのタッチで左半身というキープの形が明確にあり、そこからのバリエーションも多彩。

 職人的なうまさと余裕、そこから出てくるインスピレーション。楽しそうに自由に悠々としたプレーぶりはスター然とした貫録だが、泥臭いプレーも厭わない。リバプール出身ではないのに、何となく地元感があるのだろう。エバートンでは愛されているみたいだ。

 自分だけのためは意外と限界があって、愛情で結ばれている他人のため、そのほうがパワーは出るものだ。幸せな時間をファンと共有する場所を見出せたグリーリッシュの移籍はひとつの成功例と言える。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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