サッカー日本代表戦にブラジル代表は高いモチベーション 日本は自信に満ちた王国とどう戦うべき? (2ページ目)
【ネイマールのことを完全に忘れた】
ブラジル人監督がずっとできなかった、「ブラジルらしいサッカー」をイタリア人監督カルロ・アンチェロッティが取り戻した。彼はミランやユベントス、チェルシー、レアル・マドリードなどで見せた素早いトランジションをセレソンでも実践。ブラジルらしいスピーディーな特性を生かし、ボールを奪った5秒後には相手ゴール前にいるということもしばしばだった。一方的な試合は、まるでブラジルの練習のようでもあった
おかげでブラジルは自信を取り戻した。
ブラジルはここ20年近く、恐れを持ちながらプレーしていた。負けることへの恐れ、ミスすることへの恐れ、メディアやサポーターから叩かれることへの恐れ......。実力はあるのに、「恐れ」がブレーキとなって失敗してしまう。新しいことをしたいのに失敗が怖くて、前に踏み出せない。そんなことの繰り返しだった。
しかし、この試合でブラジルは自分たちの好きなようにプレーすることができた。自分たちの実力を十分に発揮することができた。カナリア色のユニホームはいつも重かったが、それがいまや羽のように軽くなった。
ブラジル人はおよそ感情に流されやすい生き物だ。ネガティブな気持ちでボールを持てばひどいプレーになるし、明るい気持ちでピッチに立てばいいプレーができる。経験豊かな知将がベンチに座ってまずしたことは、メンタル面への働きかけだった。ひとりひとりと語り合い、不安を取り除き、落ち着きをもたらした。
もうひとつ特筆すべきは、この試合でブラジルはネイマールのことを完全に忘れたことだ。彼がいなくても大丈夫なことを証明した。もう誰も「ああ、ネイマールがいてくれたら」とは言わない。
ロドリゴはこの日、代表では半年ぶりのプレーだったが、背番号10番を背負いフル出場。MVPの活躍を見せ、ブラジルに新しい背番号10が生まれたことを証明した。
カゼミーロはキャプテンとしての貫禄を見せ、アンチェロッティの右腕、ピッチ内の監督であることを感じさせた。彼がいることで周囲が落ち着く。セレソンの父親的存在とも言われている。
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