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久保建英のサッカー日本代表招集の影響は 不振のレアル・ソシエダの現状をスペイン人記者が探る (2ページ目)

  • マルコ・ロドリゴ●取材・文 text by Marco Rodrigo

【クラブの緊急事態で起用され続ける】

 クラブ内では、最も重要な選手のひとりである久保が代表招集による過密日程でコンディションを崩さないか常に懸念されている。それでも代表戦へ参加したいという彼の強い想いも私は十分に理解できる。

 まず忘れてはならないのは、これまでの代表戦において、攻撃陣に多くの選択肢を持ち頻繁にスタメンを入れ替えている森保一監督にとって、久保は不動のレギュラーではなかったということだ。今季はワールドカップで締めくくられる重要なシーズンであるため、一瞬のチャンスも逃したくないという考えが彼には常にあるはずだ。

 2022年のカタールW杯、ラウンド16クロアチア戦前日に体調を崩した久保は、ホテルでチームの敗退を見届けるしかなかった。不本意な形でW杯に別れを告げざるを得なかった彼にとって、忌まわしい記憶を塗り替えたい気持ちは誰よりも強いはずだ。

 そして、久保がラ・レアルで常にプロフェッショナルな振る舞いをしてきた事実から、彼の代表招集がサン・セバスティアンで何の怒りも招かなかったのも理解できる。

 確かにふたつの親善試合への出場は、彼の足首にとってベストの選択肢ではないだろう。だがラ・レアルで久保がチームのために全力を尽くしてくれているのも明らかな以上、彼が日本代表のユニフォームを着て戦う権利を得ていることに、異議を唱える者はいない。

 私はそう理解しているし、セルヒオ・フランシスコも「もし久保がラ・レアルで招集されてラージョ戦に出る準備ができているなら、日本代表にも参加できる状態にある」と、この件についてこれ以上話すことはないとした。

 負傷している久保が起用され続けていたのは、選手層の問題というより、順位的な問題によるものだ。5季連続で欧州カップ戦に出場していたラ・レアルにとって、降格圏に沈む今の状況は緊急事態だ。この状況から抜け出すべく、監督はベストの選手を常に起用し続けているが、本来はもっと多く休養を与えるべき選手、たとえば久保のようなフィジカル面に問題のある選手にうまく対処できていない。

 久保を休ませても、ゴンサロ・ゲデス、ミケル・オヤルサバル、さらに最近左サイドバックで出場しているセルヒオ・ゴメスでカバーできたはずだ。実際、ゲデスは3試合でその役割を務めている。しかし、ラ・レアルは早急に勝ち点を積み重ねなければならないため、たとえケガでパフォーマンスが落ちているとはいえ、久保のような選手が必要なのだ。

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