久保建英、浅野拓磨、ともに開幕以来5試合勝ち星なしの苦境 命運を決める"日本人対決"へ (3ページ目)
率直に言って、久保が新たにすべきことはあまりない。チームとしての回路が順調に動き出せば、パスを受け、コンビネーションを使うか、単騎で挑むか、自然と攻撃で存在感は増すだろう。現時点ではクラブが開幕後に獲得した選手も多く、連係が整わないため、「ベストの組み合わせが見いだせていない」のも仕方ないだろう。
そもそも、ラ・レアルはヨーロッパカップ出場が常連の強豪クラブではない。過去20年を振り返れば、2部降格でくすぶっていた時代もあるし、上位を維持できるようになったのはイマノル・アルグアシル前監督が率いるようになってからの4、5年で、その前はアップダウンが激しかった。監督交代で劇的に戦いが改善することはなく、むしろ状況は悪化するだろう。
久保は地に足をつけてプレーするしかない。試合を重ねることでフィットできるはずで、そのなかでゴールという結果を残せるか。そこで彼の真価が問われることになる。10月、11月は代表活動で帰国しなければならないことが心身の大きな負担になるが......。
浅野、久保の"日本人対決"は、それぞれのクラブの、あるいは選手自身の岐路となるかもしれない。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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