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久保建英はラ・リーガ新シーズンでスター選手としての役割を果たす 会長にチーム強化も要求 (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【チームの強化を会長に要求】

 今夏はスビメンディ以外にも何人かが退団すると思われていたが、実際は比較的落ち着いたものとなった。現時点でアレックス・レミロ、ブライス・メンデス、久保に加え、クラブの下部組織出身のオヤルサバル、バレネチェア、スベルディアといった主力選手たちは残留している。

 久保には6000万ユーロ(約102億円)の契約解除金が設定されており、ラ・レアルが久保を他のクラブに売却した場合、レアル・マドリードはそのキャピタルゲイン(購入価格と売却価格の差による収益)の50%を得る権利を保有している。ラ・レアルとしては契約解除金を満額支払ってもらわなければ大きな利益を得られないため、どのクラブとも交渉するつもりはない。複数のクラブから関心は持たれているものの、具体的な話は何もない状況だ。

 さらに久保が最近、代理人事務所を変更したことで移籍の憶測が飛んだ。明確な理由は公式発表されていないものの、ラ・レアルを去る意図があったからの変更ではなく、彼の父親と前の代理人事務所の間で些細な問題があったためと報じられている。

 今年の5月と7月の久保のコメントは明確な残留の意思が感じられるものだった。イマノルがまだ在籍していた5月、彼は次のように述べている。

「今のところ契約が残っている。僕の考えはラ・レアルでプレーを続け、ラ・レアルがよりよくなることだ。でも監督と同じように、将来は何が起こるかわからない。今は契約があり、僕はラ・レアルでプレーを続けている」

 そして7月にチームがプレシーズンで日本ツアーを行なった際には、残留することを前提に公然とチームの強化を会長に要求した。

「今のところ誰も来ていないので、誰が加入するのかを知りたい。僕は前に、今季は変化のある年になるだろう、そしていい変化であればそれはいいことだと発言した。新監督が就任し、意欲溢れる若い選手たちがいるが、経験豊富な選手やチームに新しい風を吹き込む選手も必要だ。いい選手でチームにプラスになるなら、スビエタ出身(レアル・ソシエダの下部組織)でも、外から来た選手でも構わない。僕たちには重要な試合でチームを勝利に導く、ダビド・シルバのような人材を必要としている」

「(移籍の)噂については知っているが、何も聞いていない。代理人を変えたことは事実だし、嘘をつくつもりはないが、今のところここにいる。僕は常々、移籍するなら堂々と去るべきだと話してきた。僕がここに来た時、ダビド・シルバ、ミケル・メリーノ、スビメンディ、ブライス・メンデス、アレクサンデル・イサクなどがいたので、それほど大きな責任を負っていなかった。僕は今、より大きな責任を負う覚悟がある。会長によると、クラブは毎年リーグ優勝を目指しているとのことだが、そのためには何か特別なものが必要だと思う。上層部がその点に取り組んでいることを願っている。まだ彼らとは話していない」

 その後、ゲデスとチャレタ=ツァルが加入した。ラ・レアルはさらに、監督が唯一補強を求めているポジションであるMFをあとひとり獲得するつもりだ。これまでアントニオ・ブランコ(アラベス)や、高額な移籍金により除外されたエセキエル・フェルナンデス(アル・カーディシーヤ)の名前が挙がり、今はジャンヘル・エレーラ(ジローナ)が話題になっているが不透明な状況にある。

 現時点では戦力外の選手を放出できていないため、メンバーは明らかにオーバーブッキング状態だ。ウマル・サディク、ハビ・ロペス、ベッカー、アルバロ・オドリオソラはクラブの明確な意思表示により、異例のことだが背番号を与えられていない。間違いなく去ることになるだろう。

 また、中盤の補強が実現した場合、久保の親友であるトゥリエンテスや、デ・サラテのような若手MFが出場時間を得るために移籍する可能性も否めない。今季は試合数が少ないことから、可能性は低いもののセンターバックのジョン・パチェコやセンターフォワードのジョン・カリカブルも同様の状況にある。

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