久保建英、喧騒のなかで開幕戦ゴール 今季も自身が得点にアプローチするしかない (2ページ目)
【チームの現状を承知しているからこそ】
開幕戦の久保について、『アス』は淡々とこう書き綴っている。
「久保はラ・レアルのシーズン初ゴールの記録者になった。決していいプレーをしていたわけではないが、今シーズンは『ゴールとアシストを増やす』と約束し、そのとおりに一発目のチャンスでゴール正面、エリア外から鋭い一撃を突き刺した。守備の場面ではもっとサポートが必要だったが、たとえいい試合ではなくとも、違いを見せられることを示した」
また、スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は久保に対し、端的に「Letal」という表現を使っている。スペイン語で「致命的な」という意味だが、「死を招く」という意味もあって、相手にしたら最悪の存在と言えるだろう。相手の息の根を止めかねないプレーの数々だった。
おそらく久保本人はドローにも満足していないだろう。実際、勝てる可能性は十分にあった。アシストも記録できたはずなのだ。
たとえば前半25分、バックラインからの長いボールに久保はゴールラインで追いつき、スペイン代表左サイドバック、ホセ・ルイス・ガヤのチャージもものともせずキープし、ペナルティエリアを横切るパスをアンデル・バレネチェアにとおしている。バレネチェアはボールをコントロールし、シュートを打ったが、惜しくも左へ外れた。
77分には、ショートコーナーから久保がコースを見つけ、速い弾道のクロスを左足で送っている。交代出場していたオーリ・オスカールソンが頭で合わせようとしたが、毛髪に触れただけでボールはアウトになった。シュート性のクロスで、相手ディフェンスに抑えられてもいたが、決定機だったと言えるだろう(オスカールソンはGKとの1対1も外している)。
今シーズンも、久保自身が得点にアプローチするしかない。かつての僚友、アレクサンダー・セルロート(アトレティコ・マドリード)のようなストライカーは獲得できなかった。本人が一番、現状を承知しているからこそ、同点ゴールのシーンも躊躇なく振り抜いたのだろう。また、自らのドリブルで奪ったゴール正面のFKも自ら蹴っている。左足シュートはバーを越えて外れたが、今後も彼は野心的にゴールを狙うはずだ。
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