検索

【クラブワールドカップ】本田圭佑時代の混迷から頂点へ ボタフォゴはいかに復活したか (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【クラブワールドカップで頂点へ】

 タイトルはボタフォゴを財政的にも強豪にした。今ではブラジルで3番目に裕福なクラブと言われる。その名声は力のある選手を引き寄せ、多くの選手がボタフォゴから各国の代表に選ばれるようにもなった。

 数年前まで笑いものだったボタフォゴの復活。その秘密は、2022年からチームを率いてきた3人のポルトガル人監督にもある。彼らはチームにヨーロッパ的なメンタリティと現代的でプロフェッショナルな視点、そして何より勝利への強い意欲をもたらした。

 ひとり目のルイス・カストロはセリエA復帰を果たしたチームに秩序を与え、ふたり目のブルーノ・ラゲはそのレベルを維持し、3人目のアルトゥール・ジョルジェは、チームを徹底的に分析し、才能豊かなグループから最高のものを引き出すことに成功し、ボタフォゴのベストシーズンを生み出した。

 ただし、成功を収めた南米のチームは、そのあと必ず移籍市場の標的となる。ティアゴ・アルマダ(リヨン)、ルイス・エンリケ(ゼニト)、マテウス・ナシメント(ロサンゼルス・ギャラクシー)、そしてJリーグでもプレー経験がありリベルタドーレスの得点王に輝いたジュニオール・サントス(アトレチコ・ミネイロ)はチームを去った。勝利の立役者だったジョルジェ監督も、カタールに引き抜かれた。

 今年の2月からチームを率いる同じくポルトガル人のレナト・パイヴァが最初にすべきことは、チームの立て直しだった。移籍した選手たちの穴も埋めるべく、若手により価値を与えた。かつてベンフィカのユースチームを率いた経験が役立っているようだ。現在のチームはベテランと若手のバランスが取れている。

 そんなボタフォゴの変貌の頂点が、開催中のクラブワールドカップだ。ボタフォゴは2戦目で、チャンピオンズリーグで優勝したばかりのパリ・サンジェルマン(PSG)と対戦。奇しくも南米王者vs.欧州王者の戦いが実現したわけだが、ボタフォゴは壁のような守備と、サッカーのお手本のような見事なカウンターでこの戦いを1-0で制し、その強さが本物であることを最高の形で証明した。

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る