プレミアリーグを席巻したデ・ブライネ マンチェスター・シティでの10年間で発揮した「ダブル10番」と破格のパス能力 (3ページ目)
【破格のパス能力】
偽9番あるいはダブル10番が最高に機能していたシティだったが、2022-23シーズンに英国史上最高額の移籍金でハーランドを獲得する。本格的な9番だ。
このシーズン、シティは念願のCL優勝を含めてトレブルを達成。2023-24はプレミア4連覇。ハーランドは得点を量産して期待に応えている。
ハーランドのゴールの多くをアシストしたのがデ・ブライネだ。
変幻自在で非常によく機能していた偽9番ではなく本物の9番を据えた以上、得点チャンスは9番に集中する。ハーランドに得点させてこそ意味がある。ハーランドは破格のCFで、普通の選手には届かないボールに届き、頭を越えるはずのクロスをヘディングできる。追いつきそうにないスルーパスにも追いつける。この破格の能力を最大限引き出すには破格のパスが必要だった。
ハーランドを迎えたことで、デ・ブライネの潜在能力も引き出されたと言える。どこへ出しているのかわからない高速クロスや、40メートル級のスルーパスなど、ハーランドに届いてはじめて意図がわかるようなパスを連発するようになった。
何でもできるデ・ブライネだが、そのなかでも突出しているのがラストパスの能力である。押し出すようなインサイドキックで楽々と長距離に届けられる。パススピードと精度は抜群。それがハーランドを生かすために球威、アイデア、タイミングが研ぎ澄まされ、次元の違うレベルに達していた。
デ・ブライネの退団とともに、シティは新たな時代を迎えることになる。残されたハーランドに破格のパスを届けられるデ・ブライネはいなくなる。偽9番に戻ることもない。ただ、能力の高い選手は多い。デ・ブライネの後継者が現れるか、あるいは別のやり方かもしれないが、来季のシティの動向が注目される。
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著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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