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三戸舜介はパリ五輪後、燃え尽き症候群になっていた 「前向きな気持ちはあるのに、ふわふわっとした感じ」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【迷ったら父に電話で相談する】

── 今シーズンの初頭は、オリンピック後の波に乗っていける感覚もあったのでは?

「たしかにオリンピック後は、気持ち的に『波に乗って行こう』という感じでシーズンを迎えたんです。でも、1試合目にスタメンで出場したあと、プレーは別に悪くなかったんですけど、トゥウェンテの試合からベンチになって......。前向きな気持ちはあるのに、なぜかプレーがついてきてなくて、ふわふわっとした感じでした」

── なぜ、気持ちと身体が噛み合わなかったのでしょう?

「プライド......みたいなもんじゃないですかね」

── プライド?

「自分はここまでできるって思っているけど、実際にやってみたら、あんまりできてない。でも、そのできてない自分を認めたくない......そういう心があったからじゃないですかね」

── それに気づいて、まずは自分を認めるところからスタートした。

「そうですね。自分に何ができないかを見返したり、誰かに相談したり、そういうのも必要じゃないかなって思いました。試合に出られなくなると、最初はいろいろと言い訳して、『こうだから出られないんだ』みたいに考えていくんです。ちょっとケガしているし、とか、チーム状態がこうだし、とか。

 ただ、心の中でそういう言い訳を考えるんですけど、そのうちに自分が試合に出られない理由はそういうことではない、とわかってくる。そんな時、僕はちょっと迷ったら、親に電話をするんです。父が相談に乗ってくれるんですよ」

── お父さんはどういう返事を?

「子どもの頃と違って、今は厳しいことを言われないです。だけど、いろんなサッカー関連の記事を引っ張り出してきて、『こうしてみたら?』とアドバイスしてくれます」

── どういう記事だったか、覚えていますか?

「なんだっけな......たしかドイツ代表のメンタルコーチの記事だったような。『プレーは毎回どうこうすることがあるけど、そういう時はマインド的にこうしたら?』というものでした」

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