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レアルのチャンピオンズリーグ連覇に黄信号 アーセナルの衝撃ゴールには伏線があった (3ページ目)

  • 杉山茂樹●text by Sugiyama Shigeki

【レアルにふたつ目の落とし穴】

 このまさかのスーパーゴールをどう考えるか。1週間後にはセカンドレグが待ち受ける。追いつく時間は十分ある。

 流れはレアル・マドリードがボールを保持する展開に変わった。格上はこちらだと、プライドを前面に出しながらアーセナルに向かっていった。そこにふたつ目の落とし穴が待ち構えていた。

 後半22分、サカが内に切れ込むと、今度はMFエドゥアルド・カマビンガが倒してしまう。キッカーはまたライス。レアル・マドリードの間違いは、ここで壁の作り方を誤ったことにある。ライスが蹴るや、壁は消えた。そこに立っていたアーセナルの3選手がコースを開けるように散ったのだ。なぜ、その裏をレアル・マドリードはケアしていなかったのか。

 ライスのシュートは強烈な弾道で、コースも抜群によかったが、2点目のゴールを許した原因の多くはレアル・マドリードの壁の作り方にあった。まさかライスのFKが2発続けて入ることはないだろうと、楽観的だった感は否めない。

 今度は2010年南アフリカW杯日本対デンマーク戦で、本田圭佑のFK弾に続き、遠藤保仁のFKが決まった瞬間を想起した。遠藤のキックも見事だったが、デンマークに油断があったことも確かだった。

 2点差ならまだ30~40%ぐらいの確率で逆転の目は残されていた。ホームで戦うセカンドレグに望みをつなぐことはできた。ところが15度欧州一に輝いているディフェンディングチャンピオンは、後半30分に三度目の失点を喫した。

 左SBマイルズ・ルイス・スケリーからのパスをCFミケル・メリーノに、ダイレクトで引っかけるようなテクニカルな左足キックでゴール右隅に蹴り込まれてしまった。万事休すとは言わないが、セカンドレグで0-3をひっくり返す可能性は10~15%あればいいほうではないか。2度目のCL連覇に黄信号が点った。

 試合を振り返った時、明暗を分けるきっかけになったプレーを挙げるならば、サカが前半32分に見せたドリブルだろう。

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