久保建英しか攻撃を仕掛けられない! マンUに完敗でヨーロッパリーグ終戦となったレアル・ソシエダの限界 (3ページ目)
その後、途中交代出場したジョン・アランブルが決定機阻止で退場を余儀なくされ、ほぼゲームオーバーになった。さらに、アマリ・トラオレのボールに触っていたタックルに対してPKの笛が吹かれる。結局、これはVAR判定で取り消されたが、このあたりで審判への懐疑的な目が完全に怒りへ変化した。PKではないプレーもPKとし、まるで死者に鞭を打つかのようだった......。
ただ、ラ・レアルはほとんど打つ手がなかった。
76分、久保がオーリ・オスカールソンと交代で下がると、両チームの力の差は浮き彫りになっている。数的不利だけが理由ではない。オスカールソンはトラップをミスし、カウンターを許し、まともに戦力になっていなかった。
開幕前から書いてきたが、補強面の失敗は深刻だろう。久保入団後に獲得した選手で、「戦力アップに貢献した」と言いきれるのはナイエフ・アゲルドのみ。一方、ダビド・シルバ(引退)、アレクサンダー・セルロート、ロビン・ル・ノルマン(ともにアトレティコ・マドリード)、ミケル・メリーノ(アーセナル)が抜けた穴は埋まっていない。それが今の現実を引き起こしているのだ。
久保はマンチェスター・ユナイテッドにも怖さを与えていたが、今のチーム状況では限界があった。
ラ・レアルは中2日でラ・リーガ、ラージョ・バジェカーノと戦い、代表戦のためオフに入る。代表明けはバジャドリード戦で、来季の欧州カップ戦出場もかけ、負けられない戦いが続く。4月1日にはスペイン国王杯準決勝、レアル・マドリードとのセカンドレグだ。
代表に選出された久保は過密日程となるが、乾坤一擲の勝負となる。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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