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久保建英しか攻撃を仕掛けられない! マンUに完敗でヨーロッパリーグ終戦となったレアル・ソシエダの限界 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ワールドクラスのプレーを見せたが...】

 これ以上ない幕開けだった。この時点で2試合合計2-1のリード。前途洋々だったはずだが......。

 直後から雲行きが怪しくなる。ラ・レアルは全体的に腰が引けてしまう。プレッシングでパワーをかけられなくなり、簡単に前線へボールを運ばれると、単純に戦力で上回る"個人"に手を焼く。ブルーノ・フェルナンデスは魔術師的、カゼミーロは昔取った杵柄、アレハンドロ・ガルナチョは若く荒々しい攻撃力を誇り、対応が後手に回った。

 防戦一方の展開となり、決定的なパスからクロスを入れられ、後ろから倒す格好になって、PKを献上した。名手ブルーノ・フェルナンデスに決められた。接触度は低く、判定自体はグレーだったが、劣勢を考えれば"必然の失点"だった。

 この後、試合がやや膠着すると、またも久保が輝いた。

 久保はライン間のギャップを見つけると、カゼミーロ、ヘブン、ドルグに三方を囲まれた状況でボールを受ける。すかさず美しいバレリーナのようなターンから包囲を突破。ハンドオフでヘブンを抑えながら、マタイス・デ・リフトをドリブルで外した。最後の左足シュートはヌサイル・マズラウィにブロックされたが......。各国代表選手を相手に、ワールドクラスのプレーだったと言える。

 ただし久保以外、ラ・レアルはほとんど攻撃が仕掛けられない。シェラルド・ベッカーは完全に沈黙。彼は右サイドのスペースを駆け上がってクロスを送るだけが持ち味で、ラ・リーガのレベルに達していない。オヤルサバルは先制点こそ見事だったが、それ以外は起点になれない。ブライス・メンデスも不調で、パブロ・マリンも苦しそうに見えた。

 これだけ攻撃が手詰まりでは、勝てるはずはない。スピード、パワーに優れた選手を擁したマンチェスター・ユナイテッドに押し込まれる。失点の香りが漂い、アクシデントが起こる可能性は高まっていた。

 後半4分には再びPKを献上した。判定そのものは、ひとつ目以上に厳しかった。アリツ・エルストンドは立ち止まって、相手が当たってきたようにも見えた。しかし、倒れたのも事実である。2-1と逆転を許した。

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