プレミアリーグ今冬の移籍動向を専門家に聞く「1億ユーロ超の移籍金は少なくなりつつある」 (3ページ目)
【トップ中のトップはこれからも欧州にとどまる】
――日本のクラブとしては、AFCチャンピオンズリーグ・エリートの決勝で対戦する可能性もあるので、無関心ではいられません。サウジアラビアからはすでにネイマール(サントスへ)やジョーダン・ヘンダーソン(アヤックスへ)といった選手や、スティーブン・ジェラード監督(アル・イテファクを退団)らが去っていますが、チーム編成を見るとトップ5のクラブは実に絢爛豪華です。一時期の中国のように、短期間のブームで終わるようなことはなさそうですか?
「どちらも政府の号令のもと、フットボールに巨額の投資を始め、多くのビッグネームを集めたのは同じですが、おそらくサウジアラビアのほうが長期的な展望に立っているように見えます」
――『サウジ・ヴィジョン2030』という国家計画があり、経済や社会、文化の多様化を目指していて、フットボールをはじめとするスポーツも、積極的に発展させようとしています。
「砂漠に巨大な街やスキー場を建造したりするくらいなので、とてつもない計画でしょう。フットボールは魅力的なコンテンツとして、そのなかでも重視されているようです。加えてサウジアラビアは中国よりも、フットボールに熱を入れる人が多い印象です。気候条件はフットボールに適しているとは言えないかもしれませんが、サポートするカルチャーはしっかり存在しているのではないでしょうか。
とはいえ、やはりトップ中のトップの選手は、これからも欧州にとどまるでしょう。実際、キリアン・エムバペやアーリング・ハーランド、ビルツ、ヴィニシウス・ジュニオール、ブカヨ・サカらは欧州のトップクラブから出て行こうとはしません。選手としては、より多くの報酬よりも、最高のレベルでプレーし、至高のタイトルを手にすることが最大の目標でしょうから」
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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