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プレミアリーグ今冬の移籍動向を専門家に聞く「1億ユーロ超の移籍金は少なくなりつつある」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【サウジアラビアへの移籍は落ち着いたのか】

――ただ、今回のウィンドウでプレミアリーグの選手がサウジ・プロリーグへ移籍したのは、そのデュランだけだったと思います。2023年からクリスティアーノ・ロナウドやカリム・ベンゼマ、ネイマール、サディオ・マネ、リヤド・マフレズら、ビッグネームを一気に獲得していたサウジアラビアですが、少し落ち着いたということでしょうか?

「私はサウジアラビアのフットボールの専門家ではないのですが、まず同国政府の意向もあって、国内のフットボールに巨額投資を始めたのが、2年前ですよね(2023年1月にC・ロナウドがアル・ナスルに加入)。その半年後には、ベンゼマ、ネイマール、マネ、マフレズらが、昨夏にはピエール=エメリク・オーバメヤンやイヴァン・トニー、ジョアン・カンセロらが続きました。

 そう考えると、確かにこの冬には欧州からサウジへの動きは急減したように見えます。同僚や同業者などに聞いたところ、サウジ・プロリーグのチームの多くはすでに外国籍枠(各クラブに10枠)がいっぱいで、国外から新戦力を迎えるスペースがあまりないそうです。それも一因でしょう」

――戦略的にターゲットをスーパースターから若手に変えたのではないかという報道もありましたが、実際はどうなのでしょうか? 確かにここ2回のマーケットでは、現在21歳のデュランほか、複数の若手がサウジアラビアのクラブに買われています。

「その流れはありそうです。外国籍枠の都合もあると思いますが、最近は誰もが知るようなビッグネームがサウジアラビアへ移籍するケースは減っています。理由はいくつか考えられます。

 選手からすれば、若いうちに巨額のサラリーを受け取って、生活を安定させてから欧州のトップレベルに戻ることができる。リーグにとっては、クオリティの高い若手の活躍により、全体の活性化や健全な継続性が見込めます。クラブとしては、若手を獲得して彼らが成長した後に高額で売却できれば、それに越したことはない。

 とはいえ、アル・ヒラルがモハメド・サラー、アル・ナスルが三笘薫に巨額のオファーを出したように(どちらも契約には至らず)、今もサウジアラビアのクラブはビッグネームの獲得を諦めたわけではないでしょう」

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