久保建英はレアル・ソシエダの「お守り」大一番のレアル・マドリード戦を展望 (3ページ目)
【いい状態でビッグマッチに臨める】
久保にとってヨーロッパリーグの決勝トーナメントプレーオフ第2戦ミッティラン戦と、ラ・リーガ第25節レガネス戦は、その後に訪れる重要な一週間を迎えるために重要なものとなった。
久保は厳しい結果となったベティス戦(0-3)をベンチから見守り、ミッティラン戦には休養が取れた状態で先発出場した。この一戦は戦力を落とすと思われたが、イマノルが選んだ先発メンバーにレギュラー陣が多数含まれたことは驚きだった。
ラ・レアルは5-2の圧勝を飾ってラウンド16進出を決めたが、久保は主役を演じることはできなかった。攻撃の多くは中央か左サイドから生まれていたが、そのような状況は久保が出場した試合では大変珍しいことだ。そんななかでもキーパスを3本出したものの、イマノルはチームの好結果と久保の調子を考慮し、消耗を避けるため後半途中にシェラルド・ベッカーと交代させる決断を下した。
レガネス戦は控え組を多数起用し、リフレッシュされた主力を何人か投入することで勝利を目指したが、ミッティラン戦の早めの交代とベッカーの出場停止により、久保は再び先発起用された。
アグレッシブにプレーした久保は、前半と後半でまったく異なるプレーを見せ、イマノルから与えられた65分間を存分に生かした。チームがすばらしい出来だった前半は、ペナルティーエリア内からのシュートが枠を逸れるなど精度を欠いたが、チャンスメイクという点では見事な働きぶりだった。ザハリャン、オーリ・オスカルソン、マルティン・スビメンディとの連係により、目を見張るようなハイレベルなテクニックを何度も見せ、ラ・レアルの攻撃に貢献した。
一方、後半は最初のプレーでトレードマークのゴールを決め、チームに2点目をもたらした。右サイドでボールを受け取ると、フアン・クルスを股抜きしてペナルティーエリア内に進入。アドリア・アルディミラと対峙しながら中に入り、角度のないところからファーサイドを狙ったシュートは、マルコ・ドミトロヴィッチの守るゴールを破った。
このゴールはラ・レアルにさらなるアドバンテージをもたらし、3-0の快勝に貢献。直近のホーム13試合で11回目の勝利となったが、チームは痛い代償も払った。久保がイエローカードの累積により次節バルサ戦で出場停止となったからだ。
この状況をポジティブに捉えるなら、週末に休養を取れるため、久保はレアル・マドリード戦で実力を存分に発揮できる。レガネス戦でいい感触を得て、いい状態でこのビッグマッチに臨めるだろう。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
【画像】レアル・ソシエダ、レアル・マドリードほか 欧州サッカー今季注目クラブの最新フォーメーション(2月更新)
3 / 3