久保建英はローテーション起用のなかでもベストパフォーマンスが必要 スペイン人番記者のレアル・ソシエダ後半戦の展望 (3ページ目)
【久保の輝きが期待されるヨーロッパリーグ】
ラ・レアルは今週から、ELラウンド16進出を懸けたプレーオフでデンマークのミッティランとの厳しい戦いに挑む。
ミッティランは、アメリカ経済誌『フォーブス』世界の富豪ランキングで、159位にランクインするファッションブランド経営者のアナス・ホルシュ・ポールセン氏がオーナーを務める1999年創設の新進気鋭のクラブだ。
チームの目標はヨーロッパトップ50入りを達成すること。創設わずか15年でデンマークリーグを制し、その第一歩を踏み出している。今季も歴史ある偉大なクラブ、コペンハーゲンと優勝を争い、現在勝ち点で並んでいるが、今は極めて重要なELの戦いに焦点を合わせている。
ラ・レアルとの第1戦が開催されるのは、人口5万人足らずの寒い街ヘアニングにあるMCHアリーナ。約1万2000人を収容できるが、ラ・レアル戦のチケットはすでに完売済みだ。この試合日は気温がマイナス5度になると予想されているため、その点ではホームチームが有利となるだろう。
北欧諸国にとって国内リーグは現在ウインターブレイク期間中だ。その点がこれまでヨーロッパの大会を戦う上で大いに不利となっていた。リーグ戦は今季も12月1日を最後に2月半ばまで中断されている。しかし、ELのフォーマット変更により1月に2試合戦えるようになったことで、コンディション調整がしやすくなった。チームはまた、プレシーズンを雪のなかで行ない、ラ・レアル戦に備えてきた。
注目選手には、ギニアビサウ代表FWフランクリーノ・ジューや、エラス・ヴェローナ(イタリア)から加入したばかりのポルトガル人MFダニ・シウバが挙げられる。また、18歳のFWミケル・ゴゴルザは家族がギプスコア(スペイン・バスク州ギプスコア県)にルーツを持つ選手とあって、とても興味深い。
ラ・レアルはミッティランがウインターブレイクに入っていた点を生かし、ハイペースでプレーする必要がある。3連敗およびここ5試合で4敗を喫している最近のアウェーゲームで失った堅守を取り戻さなければならない。
勝つためにイマノルは、久保、ブライス・メンデス、オヤルサバル、イゴール・スベルディアといったフレッシュな選手を先発起用するはずだ。一方、左ウイングは誰が起用されるか直前までわからない。
久保は試合をダイナミックに展開し、相手の守備網を突破する鍵を握る選手となるだろう。アウェーゲームとはいえラ・レアル有利と見られているが、油断することなくミッティランに勝利し、ホームの第2戦を有利に戦えるようにしなければならない。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
【画像】レアル・ソシエダほか 欧州サッカー今季注目16クラブの主要フォーメーション
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