中井卓大にとって最後のチャンス 新天地・スペイン4部のリアルと一発大逆転の可能性 (3ページ目)
欧州では21歳までがユースと定義されるだけに、中井にとっては"最後のチャンス"と言ったところか。
トップチームであるラシンは現在、2部で首位に立つ。もしBチームであるカンタブリアで活躍することができたら、一気に1部も視野に入ることになる。レアル・マドリードとの契約は今年6月末までだが、中井次第で道は開けるはずだ。
「白いユニフォームを身にまとった選手は最後まで力強く戦い抜き、勝者のメンタリティを持つ」
それはレアル・マドリードの育成選手のブランドだが、岐路に立つ今、中井は真価が問われる。プロのタフさに慣れて、持ち前のスキルやビジョンを出せるようになったら......。
「Jリーグ復帰」を短絡的に求める声もあるが、3部でもくすぶっているようでは、日本で活躍できる保証もない。また、たとえJリーグで活躍できたとしても、ラ・リーガで感じる愉悦には比べるべくもないだろう。
少なくとも、新天地には人生を大きく転換させる機会が転がっているのだ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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