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プレミアリーグの勢力分布図 「BIG6」のうち3クラブはすでにその座から滑り落ちた (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【BIGの枠に食い込む新たなチームは?】

 リバプールとマンチェスター・Cの好調に、アーセナルはついていくのが精いっぱいだ。ローテーションを好まないミケル・アルテタ監督の用兵で主力が負傷したり、上層部が補強費を出し渋ったり、2強との差はなかなか縮まらない。

 一方、チェルシーとマンチェスター・Uは、上層部の不手際によって玉座から滑り落ちた。

 2022年3月、不正取引によって資産が凍結された当時のオーナー、ロシア人実業家のロマン・アブラモヴィッチ氏に代わり、アメリカの億万長者トッド・ベーリー氏と買収を主導したクリアレイク社の共同設立者ベタバ・エグバリ氏の新体制となったチェルシーは、有望な若手を世界中から買い漁っている。

 だが、些細な事象でキレる短気者が少なくない。経験豊富なベテランや下部組織出身のタレントを軽視するチーム作りもあらためるべきだ。BIGの称号を取り戻したいのなら、伝統と格式を再認識する必要がある。

 マンチェスター・Uは2005年に買収を成功させて共同オーナーとなったアメリカの巨大ビジネスグループ、グレイザー・ファミリーがクラブを滅茶苦茶にした。買収した際の借財、移籍市場に素人を起用した意味不明な人選、インフラ整備の無視など、クラブに愛情を注がなかった。

 同じフットボールでもNFLで所有するタンパベイ・バッカニアーズを重視し、マンチェスター・Uは投資の対象でしかなかった。イングランドきっての名門が復活する手段はただひとつ、このアメリカ人オーナーのクビを叩き切ることだ。

 チェルシーとマンチェスター・U、トッテナムの不調により、BIG6の図式は歴史年表のなかに埋没した。現在は安定感抜群のリバプールとマンチェスター・C、優勝争いに最終盤まで加われるアーセナルの3強がプレミアリーグをリードしている。

 では、彼らとともに主役を張れるクラブは現れるのだろうか。

 2021年10月にサウジアラビアの巨大資本が入ったニューカッスルは、「新たなマンチェスター・Cになるのでは?」と一時は期待された。しかし、経済事情は芳しくなく、移籍市場では買いより売りを優先しなくてはならない。

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