三笘薫、プレミアリーグ日本人通算最多ゴールに並ぶ ウインガーとしてのその価値とは? (3ページ目)
それは、三笘にとってのプレミアリーグ通算14点目で、岡崎慎司の日本人最多記録に並ぶゴールでもあった。岡崎の出場試合数114に対し三笘は73。ウインガーであることを踏まえると、その価値にさらに高まる。
縦突破を何度決めるかをウインガーとしての価値だと先述したが、アタッカーとしての価値を決めるのはゴール数だ。ウイング兼ストライカーの時代を迎えた現在、ウインガーとして何点取るかは、選手としての偉大さを推し量るとき、重要な要素になっている。
クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ。現在で言えばモハメド・サラー、ヴィニシウス・ジュニールこそが、スター選手の王道だとすれば、三笘もその系譜に名を連ねることになる。
試合の話に戻れば、イプスウィッチはブライトンに対し5バックで臨みながら、三笘に先制点を許した。思いどおりの展開に持ち込めず、試合の途中から急遽、攻撃的な前掛かりのサッカーになった。バタつくのは当然だった。ブライトンはその矛盾を突き、後半37分、ジョルジニオ・ルター(元U-21フランス代表)が追加点を決め、開幕戦(エバートン戦)以来の完封勝利を収めた。
ただし、今後がバラ色と言うわけではない。ボールがトップに収まりにくいという、森保ジャパンとも似た傾向を抱えている。三笘とブライトンの今後に目を凝らしたい。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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